<高校野球秋季北海道大会:立命館慶祥6-0恵庭南>◇13日◇札幌地区2回戦◇札幌麻生

 低めの直球も、恵まれた立派な肉体も-。札幌地区の“プロ級”右腕が、公式戦初完封で3回戦進出を決めた。立命館慶祥のエース高氏(たかうじ)祥太(2年)が、自己最速となる142キロ直球を武器に、今夏、南北海道大会に出場した恵庭南を散発5安打9奪三振でシャットアウト。次戦は15日札幌第一戦(札幌麻生)。11年春以来の全道大会出場を狙い、本格派右腕が強豪撃破に挑む。

 狙い通りの1球で、試合を締めくくった。90球目、こん身のストレートで最後の打者を見逃し三振に仕留めた立命館慶祥のエース高氏は「絶対、三振を取ってやると思って投げたので、すごく気持ち良かった」。6回1安打無失点だった1回戦に続く、0行進。三塁を踏ませず、恵庭南打線を散発5安打に封じた背番号1は、公式戦初の完封劇に会心の笑みを見せた。

 立ち上がりから絶好調で、7回には自己最速の142キロをマーク。伸びのある直球が、低めに決まった。今夏の地区予選で札幌日大に敗れてから、死に物狂いで磨いてきた生命線だ。「日大戦ではベルト付近の球を本塁打された。細かいコントロールがなかった」。もっと、低く。ブルペンではボール1つ分の高さにゴムを張り、設定したゾーンへひたすら投げ込んだ。最初は7~8割がゾーンを外れたという投球も、8月に入ると次第に制球できるように。力任せの投球は、今夏で終わり。今では8割を、高さ10センチほどのゾーンに投げることが出来る。

 マウンドの立ち姿は、すでにプロ級だ。身長182センチ、体重83キロの恵まれた体は、肩幅が広く、スクワットで鍛えたという下半身も高校生のものとは思えない。「スポーツ栄養士の資格を持つ、母の手料理のおかげ」と照れる。おまけに、顔までロッテの中継ぎ右腕で、報徳学園(兵庫)時代の02年にセンバツ優勝投手となった大谷似。将来が楽しみな右の本格派だ。

 15日の3回戦では、今夏のメンバーが多く残る強豪、札幌第一とぶつかる。「失投は打たれる可能性が高いので、もっと慎重に投げないと」。秋は11年ぶりとなる全道の舞台まで、あと2つ。金星奪取で、今秋の主役となれるか。【中島宙恵】

 ◆高氏祥太(たかうじ・しょうた)1997年(平9)8月28日、帯広市生まれ。札幌琴似小2年で野球を始め、琴似アイガーズから、札幌西シニアへ。中3時に全道優勝投手になった。立命館慶祥では1年春に公式戦デビュー。今春の地区予選から全7試合に登板している。182センチ、83キロ。右投げ右打ち。