<高校野球秋季神奈川大会:東海大相模8-0戸塚>◇14日◇3回戦◇サーティーフォー相模原

 “神奈川のドクターK”が再びチームを甲子園へ導く。夏の甲子園に出場した東海大相模(神奈川)が、秋季高校野球県大会で戸塚を8-0で破り、ベスト16に進出した。今夏の県大会決勝で大会タイ記録の20奪三振をマークした吉田凌投手(2年)が先発し、毎回の16三振を奪って完封した。公式戦登板は甲子園で投げた8月16日以来だったが、単打4本、三塁を1度も踏ませない危なげない投球だった。

 “奪三振ショー”が再び、幕を開けた。東海大相模・吉田の勝負球スライダーが、切れに切れた。2回。戸塚に初安打を許し1死一塁。迎えた6番打者へカウント1-2から縦にストンと落とした。直球と同じ腕の振りで繰り出される“縦スラ”に、次打者も空振り三振に倒れた。3回を3者三振に仕留め、5者連続三振。だが、“ショー”はこれで終わらなかった。

 後半にかけてさらに腕が振れた。8回を再び3者三振に切ると、最後の打者にも0-2からストンと落として空振り三振。結局、毎回の16三振を奪った。今夏の神奈川大会決勝で大会タイ記録の20三振を奪い、知名度は飛躍的にアップ。「ここからは自分たちが中心。県大会の決勝より緊張しました」と冗談まじりに振り返ったが、当然責任は増した。プレッシャーもあったが、前日の2回戦で僚友の小笠原が7回14奪三振と好投。負けられない気持ちも好投を後押しした。

 甲子園では初戦で盛岡大付(岩手)に敗れた。吉田は3番手で打者6人を完全救援したが、新たな武器を身につける必要性を感じた。「横に変化する球もあった方が楽になる」。甲子園後に練習を始めたのは、右打者へのシュート。「まだ練習中ですが、いずれスライダーぐらい自信を持てる球になれば」と磨きをかける。

 この日朝は、修学旅行から戻ったばかりの青島、佐藤の両3年生投手が打撃投手を買って出た。吉田は「3年生たちの分も、県で優勝してセンバツに出たい。甲子園の悔しさは甲子園でしか晴らせません」。速球派4人を擁した「140キロ超カルテット」から、小笠原との「コンビ」に変わっても、必ず聖地へ戻る。【和田美保】

 ◆吉田凌(よしだ・りょう)1997年(平9)6月20日生まれ、兵庫・西脇市出身。小1から西脇少年スポーツ団で野球を始めて以来投手。兵庫・西脇東中では北播シニアに所属し、中2のタイガースカップ初戦で、最速130キロ後半を計測するなど完封勝利を挙げて注目された。東海大相模では1年春からベンチ入り。181センチ、72キロ。右投げ右打ち。家族は両親、5人きょうだいの長男。50メートル6秒2、遠投110メートル。