<高校野球秋季福島大会:日大東北10-0平工>◇15日◇2回戦◇あいづ球場

 昨年の覇者・日大東北が、初戦を突破して8強入りした。平工を6回サヨナラコールドで下した。右腕エース岩城光(2年)が被安打4で完封し、県中地区大会初戦から続くチームの無失点を42イニングに伸ばした。湿り気味だった打線も復調した。20日の準々決勝で宿敵・聖光学院と6季連続で対戦する。この日でベスト8が出そろった。

 先輩たちの夏の悔しさを胸に秘め、日大東北が平工を圧倒した。初回に2点先制し、2回には3連打などで3点を追加。6回裏は投手の暴投で10点目をもらってサヨナラコールド勝ちだ。10安打中9本が単打で、全員がコンパクトにバットを振り抜いた。

 3安打2打点の3番落合滉樹主将(2年)の言葉が弾んだ。「地区大会が終わってからの練習の成果をこの試合で発揮できた」。大振りから好機で凡退が目立った8月の地区大会を反省。今月から指2本分ほどバットを短く持ち、芯で捉える練習を繰り返してきた。中村猛安監督(35)は「コンパクトに振ってボールの力を利用する。聖光学院などの投手を崩すため」と説明した。地区4試合の最多得点は3。県初戦は2桁得点と早くも効果が表れた。

 夏までの大和田啓亮(3年)のような絶対的エースはいないが、投手陣は地区大会から42イニング無失点を続ける。背番号1の岩城は身長169センチながら最速136キロで制球も安定。2度三塁に走者を置いても「打者のタイミングをずらして打ち取れた」と3試合目の完封勝利を挙げた。

 選手全員の脳裏には昨夏、今夏の福島大会決勝が焼きついている。いずれも聖光学院に延長サヨナラ負けして甲子園を逃した。中村監督は「選手たちも悔しい思いをしている」とさらなる奮起を促す。その宿敵と6季連続で、20日の準々決勝で顔を合わせる。

 大和田から「点を取られても最少失点に抑えるのがエース」と教わったという岩城は「ピンチになっても粘る。リベンジしたい」。落合主将も「先輩たちの分まで」と言葉に力を込めた。日大東北が秋連覇から東北大会、センバツへ、宿命の対決を迎える。

 【久野朗】