<高校野球秋季北海道大会:中標津8-5別海>◇18日◇釧路地区Bブロック2回戦◇釧路市民

 中標津が別海に逆転勝ちした。今夏は“弟分”の中標津中が全国中学で北海道勢としては23年ぶりに決勝に進出し、準優勝に輝いている。さらに、武修館が同地区勢では90年の同校以来24年ぶりに甲子園に出場した。90年の甲子園メンバー2世もいる現チームは、2つの発奮材料を糧に、2年ぶりの全道切符へあと2勝とした。

 この秋への中標津ナインの思いの強さが、劣勢だった試合をひっくり返した。別海戦は先制され、追い付き、勝ち越した後に逆転される、嫌な展開。一変させたのは4番のひと振りだった。1点を追う7回2死一、三塁から渡部景太捕手(2年)が初球を左翼席に3ラン。再逆転に成功し「自分が決めると思っていたのでうれしい」と笑顔満開だった。

 今夏、全国中学で“弟分”の中標津中が準優勝に輝いた。同中で行われた決勝のパブリックビューイングには大勢の町民が集まり、同町内には健闘をたたえる垂れ幕が今も掲げられたままだ。今大会メンバーに3人いる同中出身者の1人、渡部は後輩の快挙を喜びつつ「自分たちも頑張らないと」と大会前から闘志満々だった。

 発奮を促す材料は、もう1つ。武修館が釧根地区から24年ぶりに甲子園をつかんだ。OBが出場した90年以来、高かった道大会の壁を破ったのはライバル校。中標津ナインには複雑な思いがあったが、中でも24年前に5番・中堅手で父雅章さん(41)が聖地の土を踏んだ山口大輝遊撃手(2年)の悔しさは人一倍だった。「甲子園を目指せるのも、あと2大会。行ってもらいたいですね」と父。息子は「いつも漁の合間に試合を見に来てくれる。1つずつ勝っていきたい」と力を込める。

 通過点となる2年ぶりの地区突破まで、あと2勝。鷲見亮人主将(2年)は、ナインの総意を代弁するように「センバツにつながることを意識して、チームワークを武器に戦いたい」と聖地への思いをはっきり口にした。

 ◆中標津の90年夏

 釧根地区を2年ぶり(2度目)に突破。北大会も11-0北見柏陽、6-4帯広南商、3-2滝川西、4-0旭川龍谷と快進撃し、春夏通じて初甲子園をつかんだ。左腕エース武田を中心に、甲子園でも初戦(2回戦)で星林(和歌山)に延長10回4-5と接戦を演じた。