<高校野球秋季神奈川大会:東海大相模2-1慶応>◇21日◇準々決勝◇保土ケ谷・神奈川新聞スタジアム

 鋭く振った右腕から、緩いカーブが低めに決まった。東海大相模・吉田凌投手(2年)が先発し、人生最多177球を投げ抜き、13奪三振完投で4強に導いた。ヤマ場は1点リードの8回2死一塁。3打席連続安打を許していた慶応・亀川を、フルカウントからカーブで見逃し三振に切った。

 「慶応は本当に嫌な相手。苦しかったです。ボールになるスライダーを振ってくれなかった。スライダーが注目されてますが、負けないカーブを投げられたのは良かった」と言った。

 今夏の神奈川大会決勝では縦に落ちる宝刀スライダーを軸に、大会タイの20三振を奪った。だがその決め球は「(楽天)松井レベル」(慶応・上田誠監督)と分析され、低めのボールゾーンに落ちるボールが見極められた。球数は5回までに91球を要し、5四球を出した。苦しい投球の中、最速142キロの直球に加え、目いっぱい腕を振って投げるカーブが救いだった。

 粘りの投球に、門馬敬治監督(44)は「これで一皮も二皮もむけてほしい」と評価した。吉田は入学時に、指揮官から「お前と(左腕エース)小笠原で日本一になる」と伝えられたという。夢へのチャンスはあと2回。来春センバツが懸かる秋季関東大会出場まで、あと1勝だ。【前田祐輔】