<高校野球秋季北海道大会:旭川龍谷5-2旭川大高>◇21日◇旭川地区Bブロック代表決定戦◇旭川スタルヒン

 甲子園春2度、夏6度出場を誇る古豪・旭川龍谷が旭川大高を下し、2年ぶり15度目の代表を決めた。2失点完投した山田智則投手を始めスタメンに1年生6人。ヤングパワーが躍進の原動力となった。チームは90年以来、24年ぶりの優勝を目指す。

 山田が最後の打者を投ゴロに打ち取ると、たまらずに右手の拳を振った。1年生24人、2年生10人にとっては初めての円山。グラウンドでスタンドでナインは躍り上がって喜んだ。「(球を)低めに集められました。一番いい内容でした」と顔を輝かせた。全3試合に先発し、20イニングを投げて自責3。1年生右腕がチームを引っ張った。

 8回までは相手打線を被安打4の無失点に抑えた。125キロ前後の直球にスライダー、カーブをコースに決め打たせて取った。釧路大楽毛中時代には、硬式球と同じ重さ、大きさのゴム製球を使う、Kボールの釧路選抜で全道優勝、全国制覇を成し遂げた。大舞台を経験した山田は「投手が焦ると野手が不安になります」とピンチに動じない。伊藤新平総監督(66)も「ここが強い」と左胸をたたいた。

 山田を筆頭にスタメンに1年生が6人。投手控えにも1年生が4人いる。高橋健監督(42)は「元気な1年生が伸び伸びやり、2年生ともうまくかみ合っている」とは手応えをつかむ。新チームになった最初のミーティングで主将の鈴木堅也中堅手(2年)は「フィールドに入ったら学年はない」と垣根を取り払った。練習では監督が心配するほど厳しい言葉が飛び交うという。

 ユニホームは今春から、76年まで使っていたものに戻った。73年から3年連続で夏甲子園に出場したころのものだ。山田は「チーム一丸となって1試合1試合に臨みます」と意気込んだ。若い力が古豪復活への道を開く。【中尾猛】

 ◆旭川龍谷と秋

 全道優勝は86、90年の2度。86年は決勝で北海道大谷室蘭を6-3、90年は札幌第一を2-1で下し、いずれも翌年春の選抜甲子園に出場している。準優勝は2度で72年は函館大有斗に0-6、82年に駒大岩見沢に0-6で敗れている。