<高校野球秋季静岡大会:常葉学園菊川4-3駿河総合>◇23日◇準々決勝◇草薙球場

 常葉学園菊川が、劇的な逆転サヨナラで4強を決めた。駿河総合を下し、2年ぶり9度目の東海切符に王手をかけた。1点差の9回裏、無死二、三塁で、5番増田未希主将(2年)が左中間に二塁打を放ち、接戦に決着をつけた。

 最後の最後、クリーンアップがサヨナラ劇を演出した。常葉菊川は1点差で追う9回裏、先頭の3番河森栄斗(2年)が四球で出ると、4番中林流星(2年)が二塁打。無死二、三塁で、主将の5番増田は「つなぐのではなく(試合を)決める」と打席へ。3球目の外角スライダーをとらえた。打球は左中間を破るサヨナラ逆転二塁打。大喜びの仲間に出迎えられた自身初のサヨナラ打に「たまらなかったです」と感慨に浸った。

 同点だった5回裏終了直後、河森、中林、増田が森下知幸監督(53)から「もし負けたら3、4、5番の責任」とゲキを飛ばされた。夏の県大会から主力だった3人は「どうにかしよう」と激励し合っていた。先月30日の西部地区準々決勝では、浜松南に0-7の7回コールド負けを喫した。「受け入れがたい負け。でも先につながる負けになった」(増田)と自然に自主練習が増加したという。昨秋の大阪府大会でコールド負けしながら今夏で全国制覇した大阪桐蔭の姿も参考に再スタートを誓った。

 「歴代でも一番下のチーム。でも甲子園に行きたい」と増田。森下監督は「理屈はないが、何とかなるというチームかも」と選手の粘りを再評価した。名門が逆襲する態勢を整えてきた。【藤中栄二】