<高校野球秋季東海大会:日大三島6-5海星>◇18日◇1回戦◇三重・伊勢倉田山球場

 汚名返上の逆転勝利だ!

 日大三島(静岡)が海星(三重)を下した。初回に小沢怜史投手(2年)が3点本塁打を被弾するも4回に追いつく。4-4の8回裏に浜口大雅捕手(2年)の悪送球で1点を勝ち越されるが、9回表2死二、三塁からその浜口が逆転打を放った。

 試合後やっと浜口の表情が柔らかくなった。「(終わって)ミスがチャラになった。ほっとした」。もっとも塁上では笑顔もガッツポーズもなかった。

 8回裏2死一、二塁から三盗を刺そうとした浜口はボールをつかみそこねる。「腕を振ろうと思った」という送球は三塁の頭上を越えた。ベンチに戻るとムードメーカーの神尾賢治捕手(2年)から「お前で決めるぞ」と声をかけられた。9回表、連続四球で逆転の走者が出るも、その後2者が凡退。そして浜口に打席が回った。「初球から行こうと思っていた」。

 打席の浜口には成功体験があった。県大会2回戦の常葉学園橘戦。延長10回に左翼へ決勝の勝ち越し2点打を放っていた。「いいイメージがあった」。高めの変化球をとらえるが浜口の手応えは良くない。「試合が終わったと思った」。三塁走者の平田優樹(2年)も「左飛かなと思った」と振り返った。

 会場の球場は夏を過ぎると左翼への打球が伸びるという。浜口の打球も左翼手の頭上を越えていった。スタンドで見守った小沢拓馬(3年)は「初球から打ったのが良かった」と“自作自演”となった後輩の強気の姿勢を評価した。

 前回センバツ切符を獲得して以来の31年ぶりの勝利となった。序盤は硬さが見られたが、徐々に適応していった。川口剛監督(37)も「選手に助けられました」と振り返った。浜口は「ミスを忘れてはいけないけど勝てたので。次もあるので切り替えてやりたい」。今日の準々決勝では岐阜総合と対戦する。【加納慎也】