<高校野球秋季東北大会:松島10-1宮古商>◇23日◇1回戦◇コボスタ宮城

 初出場の松島(宮城3位)が33年ぶり出場の宮古商(岩手3位)に快勝した。地区大会から10戦連続完投のエース鈴木識史(2年)が、約600人の全校応援を味方につけ5安打1失点で完投した。

 まるで「マー君」だった。松島のエース右腕鈴木識が9回のマウンドに上がると、ヤンキース田中将大が楽天時に使っていたテーマソング「あとひとつ」の合唱がコボスタ宮城に響き渡った。3者凡退に抑え、勝利を決めると、さらに大きな歓声が球場を包んだ。夏の大会でもなかった全校応援に鈴木識は「助かるな、と思っていた。ホームみたいでした」と笑顔で感謝。打線の14安打10点の援護にも恵まれ、記念すべき東北大会初勝利を手にした。

 秋は地区4試合、県5試合をすべて1人で投げ切り、これで10戦連続完投だ。県大会後は肩の疲れを取るため1週間ノースローで過ごし、整体院でマッサージや電気治療を受けてきた。それでも多少の痛みは残るが「試合中は気になりませんでした。アドレナリンです」。直球にカーブを多用しながら、5安打1四球1失点と安定した投球で試合を作った。

 今日24日は8強をかけ、秋田1位の大曲工と対戦する。「強いチームだと思いますが、一瞬一瞬を大事にがんばっていきたい」。昨秋に外野手から投手に転向してわずか1年だが「自分が投げないといけない」とエースの自覚は十分。2日連続でマウンドを守り抜く。【高場泉穂】