<高校野球秋季東北大会:八戸工大一7-6米沢中央>◇23日◇1回戦◇仙台市民球場

 八戸工大一(青森3位)は劇的な逆転サヨナラ勝ちを収めた。3点を追う9回裏に4点を奪って米沢中央(山形3位)を退けた。

 八戸工大一の3番円子湧士(2年)が決めた。1点差に迫った9回裏2死二、三塁。敗れた夏の青森大会準々決勝では最後の打者だった。「悔いのない打席にしようと思った」。バットを振り切り、外角のスライダーを右前に落とした。劇的な逆転サヨナラで、6年ぶりの勝利をたぐり寄せた。

 チームは6回まで、米沢中央の右腕エース平純也(2年)の前に凡打を繰り返した。7回以降、長谷川菊雄監督(37)は「カウントを取りにくるベルト付近の変化球を狙え」と指示を出した。球威が落ち始めた平のその球を逃さなかった。5点差の8回に2点をかえし、9回に一挙4点を奪った。

 試合前には、会場の仙台市民球場でフルスイング100本で汗を流した。夏場からチームのテーマ「バットを振り抜く」(長谷川監督)を確認した。中盤までは当てにいく打撃だったが、終盤には本来の姿を取り戻した。9回は代打の磯谷勇輔と田中隆之進(ともに2年)が出塁して、サヨナラ勝ちをお膳立て。長谷川監督は「上級生の一体感で、この勝利ができた」と喜んだ。【久野朗】