<高校野球秋季東北大会:花巻東7-1東日本国際大昌平>◇25日◇2回戦◇石巻市民球場

 花巻東(岩手1位)にシンデレラボーイが現れた。東日本国際大昌平(福島2位)との延長15回引き分け再試合で、背番号18の右腕門崎(もんざき)愛紀(2年)が公式戦初登板で完投し、チームを8強に導いた。

 公式戦初登板の背番号18が躍動した。門崎は右打者にスライダー、左打者にチェンジアップを効果的に使い6安打、7三振、1失点で9回を投げ切った。「再試合なので、できるだけ他の投手の負担を減らしたかった。打たせて取る投球ができました」と声を弾ませた。今大会直前までBチームだった右腕が、来春のセンバツ出場へ負けが許されない2回戦で花巻東を救った。

 2番手投手の千葉大輔(2年)が右肘を痛め、大会前に急きょベンチ入りした。前日24日に延長15回で引き分けた試合は、左腕エース高橋樹也(みきや、2年)が救援して10回1/3、138球を投げた。疲労などを考慮してこの日は先発を回避。門崎は佐々木洋監督(39)も「練習試合で1試合ぐらいしか見ていない」という隠れた存在だったが、Bチームで完投経験があり「コーチ陣から薦められて」(佐々木監督)と再試合の先発を託された。

 Aチームに上がりたい一心から、全体練習終了後の居残り投球で制球力を磨いてきた。最速は130キロほどだが与えた四死球はわずか1。佐々木監督は「コントロールがいい。四球を出さず、守備のリズムをつくってくれる」と高く評価した。

 東北大会の大舞台でいきなり結果を出した。5回には右前へタイムリーも放った。「甲子園が目標」と門崎は自信をつけた様子。佐々木監督は「(高橋)樹也が登場しないで終わるとは思わなかった」と目を丸くした。エースの休養とシンデレラボーイの出現で、花巻東の準々決勝以降に明るい道が開けた。【久野朗】

 ◆門崎愛紀(もんざき・あいき)1998年(平10)2月11日、岩手県大槌町生まれ。吉里吉里(きりきり)小2年で野球を始め投手と野手兼任。吉里吉里中では軟式野球部に所属。花巻東が菊地雄星(現西武)を擁して09年夏の甲子園で4強入りしたのをテレビで見たのが入学のきっかけ。今大会が初のベンチ入り。178センチ、76キロ。右投げ右打ち。家族は両親と祖父母、弟。