<高校野球秋季東北大会:仙台育英7-2八戸学院光星>◇27日◇準決勝◇コボスタ宮城

 仙台育英(宮城1位)が八戸学院光星(青森1位)を下して決勝に進出し、センバツ出場をほぼ確実にした。エース右腕佐藤世那(2年)が12奪三振、最速144キロをマークするなど9回5安打2失点(自責0)と好投した。

 勝利の校歌を歌いあげると、佐藤世の目に涙がこみ上げた。「高校に入って一番うれしかった」。三塁側スタンドへ向かうと、野球部に加え、応援に駆けつけた1、2年生約1600人に温かく迎えられた。「試合中は気付かなかったけど、こんなに人が来てたのかと」。ホームの雰囲気の中で、センバツ切符を大きく引き寄せた。

 光星とコボスタ宮城。この2つの壁を乗り越えた。ちょうど1年前、佐藤世は光星との東北大会初戦で先発を任されたが、3回4失点降板。結局乱打戦になり7-10で敗れた。「自分が打たれて負けた」。その思いはずっと消えなかった。コボスタ宮城は、夏の4回戦東北学院戦で延長13回にサヨナラのソロ本塁打を浴び、秋の地区大会でも聖和学園に敗れた場所。「2つの壁を破ろう」と佐々木順一朗監督(54)にハッパをかけられ、試合に臨んだ。

 打たれても動じず、フォーク、直球を決め球に12の三振を奪った。8回、10個目の三振を奪うストレートは自己最速の144キロを計測。気迫がそのまま表れたピッチングだった。郡司裕也捕手(2年)は「球に威力があった」。佐々木監督も「今までで一番いい。たくましさを感じた」とエースの成長を喜んだ。

 昨年夏以来の甲子園切符をほぼ手中にしたが、佐藤世は浮かれない。「決勝戦が終わってから喜びたい。優勝して神宮に行く」。地区大会から東北大会まで全12試合先発し、うち9戦完投。それでも「疲れは全然ないです」。自信を胸に、あす29日の決勝もマウンドを守り抜く。【高場泉穂】