<明治神宮大会:仙台育英8-0九州学院>◇17日◇高校の部準決勝◇神宮

 高校球界にも「セナ」が現れた。高校の部は、仙台育英(宮城)の佐藤世那(せな)投手(2年)が完封し、初優勝した12年以来の決勝進出を決めた。2試合で16イニング1失点と絶好調で、九州学院(熊本)に7回コールドで快勝した。

 名前は「セナ」。2文字で誰からも覚えやすいようにと、生まれた前年96年にヒットしたテレビドラマ「ロングバケーション」で木村拓哉が演じていた主人公・瀬名秀俊、F1レーサーのアイルトン・セナ(故人)から取って名付けられた。天理(奈良)戦の1失点完投に続き、7安打完封。仙台育英エースとして「珍しくていい」と気に入る名前を神宮にとどろかせた。

 肩を大きく開くダイナミックなフォームが特徴で、140キロ前半の直球と緩急をつけた2種類のフォークを武器に持つ。5回表の打席で右手小指に投球が当たるアクシデントもあったが大事に至らず。そこから「ギアを入れた」と最後までマウンドを守り抜いた。この秋の公式戦全15試合に先発し、うち12完投7完封。春も夏も敗戦投手となった悔しさが成長の糧となった。

 仙台育英が2年ぶり2度目の頂点へ王手をかけた。決勝の相手、浦和学院のエース左腕江口奨理(2年)は、中3で選出されたKボール日本代表のチームメート。今年の年賀状で「一緒に甲子園に行こう」とやりとりした友人と早くも対戦することになったが「気にせず、しっかり勝つこと」と気を引き締めた。【高場泉穂】

 ◆佐藤世那(さとう・せな)1997年(平9)6月2日、仙台市生まれ。南光台東小2年時から野球を始め、仙台育英の系列校の秀光中では軟式チームに所属。3年時にはKボールの日本代表に選ばれ、インドで行われた15Uアジア選手権で準優勝。仙台育英では1年秋からベンチ入り。180センチ、76キロ。右投げ右打ち。家族は両親と弟。

 ◆ロングバケーション

 木村拓哉と山口智子が主演し、96年に大ヒットしたテレビドラマ。略称は「ロンバケ」。木村が演じた主人公・瀬名(せな)秀俊はピアニストだったため、放送後ピアノを習う男性が続出。一躍「瀬名ブーム」が巻き起こった。