<明治神宮大会:仙台育英4-1浦和学院>◇18日◇高校の部決勝◇神宮

 来春センバツこそ、悲願の東北勢初優勝だ。仙台育英(宮城)が浦和学院(埼玉)を破り、2年ぶり2度目の日本一に輝いた。「主将代理」の3番平沢大河内野手(2年)が7回に2ランを放つなど、攻守に活躍。先発の佐藤世那投手(2年)は、1失点完投で、3試合25回を1人で投げ抜いた。来春センバツは、東北地区に「神宮枠」が与えられる。

 平沢はエース登場に燃えた。2-1で迎えた7回表2死二塁。浦和学院はエース左腕の江口奨理(2年)をマウンドに送ってきた。対策してきただけに「やっと来た」と思った。3球目の甘いカットボールを狙い打つと、打球は逆風をものともせずに右中間スタンドへ突き刺さった。「ランナーをかえす気持ちで打席に入った。ああいう結果が出て良かった」と、勝利を引き寄せる高校通算10号を喜んだ。

 強烈な1発を見せた平沢だが、魅力はスイングだけではない。中学3年間は硬式の七ケ浜シニアに加え、バドミントン部にも所属。シャトルを追うことで身につけた高い動体視力が野球に生きる。バットを振らずに2度四球を選び、3回には初球を二塁打にするなど「見る」センスが光った。

 遊撃の守備も魅せた。7回裏2死一、二塁では、センター手前に落ちてくる飛球を後ろ向きに追い膝をつきキャッチ。前日準決勝で同じような打球を落としただけに「よく捕れたと思う」と笑顔で振り返った。今月2日の練習試合で左足を複雑骨折した佐々木柊野(とうや)主将(2年)に代わり、キャプテンとして初めて臨んだ大会。「柊野の分もがんばろうと思った」の言葉通り攻守でチームを引っ張った。試合後には、車いすで駆け付けた主将に勝利球を贈った。

 現ソフトバンク上林誠知を擁した12年以来2度目の神宮制覇。「総合するとこっちの方がいい」と佐々木順一朗監督(55)が話す通り、投打ともに戦力は厚い。13年のセンバツは優勝候補に挙げられながら8強止まり。平沢は「追われる立場でも謙虚にやっていきたい」とした上で「壁を乗り越え、優勝したい」と言い切った。この4年間で東北勢3度目の神宮優勝。「白河越え」の機は熟してきた。【高場泉穂】