大旗は、オレたちが持ち帰る!

 第87回選抜高校野球(3月21日開幕、甲子園)の出場32校の選考委員会が23日、大阪市内で開かれ、昨秋神宮大会を制した仙台育英(宮城)の2年ぶり11度目の出場が決まった。エース右腕佐藤世那(2年)、神宮大会で打率5割超えの主砲平沢大河(2年)らを中心に、悲願の甲子園優勝を狙う。

 吉報は午後3時10分にやってきた。グラウンドで待ち続けた仙台育英ナインは、センバツ出場決定に「よっしゃー!」と雄たけびをあげ、喜びを爆発させた。エース佐藤世は「自分にとっては初めての甲子園なのでわくわくします」とにっこり。佐々木順一朗監督(55)も「大旗の白河越えの思いは、ずっと前からある。足元を見て気を引き締めて戦いたい」と、悲願の甲子園Vに照準を定めた。

 佐藤世の頭の中には、頂点に立つ自分の姿が見えている。秋は「意識していなかった」という三振も「狙っていきます。自己連続(奪三振)記録の8個を更新したいし、ノーヒットノーランもしたい」と気合十分だ。「想像を超えるプレーをしなければ(甲子園では)優勝できないと思いますから」。この冬は下半身強化を徹底し、体重6キロ増に成功。チームを昨秋神宮大会優勝に導いた右腕は、進化した姿を大舞台でみせるつもりだ。

 今秋ドラフト候補の平沢も「世那を援護して、確実に勝ち上がる」と自信を見せた。神宮大会では豪快な2ランを放つなど打率5割超えの活躍を見せた打線の中心だが、「ホームランは封印します。外野の間を抜ける長打を狙い、5割以上をマークしたい」と堅実なバッティングを目指す。

 チームは昨年末、四国で「お遍路」を敢行した。丸4日間歩き続けて八十八カ所中10カ所を走破した。それぞれの寺で般若心経を読み、合掌。心と体の鍛錬が目的だが、10年前の学校行事のウオークラリー中、暴走してきた車の犠牲になった生徒たちへの供養の意味も込められていた。佐藤世は「自分と同じ世代で亡くなった人のことを思うと、今野球を出来ることが幸せだと感じた」と1球1球を大事にすることを誓った。

 昨秋神宮大会Vでライバルからマークされるのは覚悟の上。ひと冬を越え、心技体ともに成長した仙台育英ナインが、大旗を目指して走りだす。【成田光季】

 ◆仙台育英

 1905年(明38)創立の私立校。生徒数は2376人(女子817人)。野球部は30年創部で、部員70人。駅伝は全国トップレベルでサッカー部、ラグビー部も強豪。主なOBにヤクルト由規ら。所在地は仙台市宮城野区宮城野2の4の1。加藤雄彦校長。