第87回選抜高校野球(3月21日開幕、甲子園)に初出場する大曲工(秋田)が、「甲子園優勝」を10回連呼して、センバツへ本格的に始動した。出場決定から一夜明けた24日、毎日恒例の朝礼で選手が声をそろえ、大舞台への意識を高めた。準優勝した昨秋の東北大会後に「甲子園勝利」から変更し、さらに高い目標に設定。この日は雪のグラウンドでランニングやキャッチボールを行うなど精力的に体を動かした。

 午前9時前の室内練習場に、大曲工の選手の声がこだました。「甲子園優勝」。それほど大きな声ではないが10回続いた。「昨日は出場が決まる前でしたが、今日は本当に目指すという気持ちが出てきた。言葉に重みがある」。岡本昌真主将(2年)がセンバツへの決意を新たにした。

 1日が始まる前に、その日や今後のチームの目標を確認するために始めた朝礼。平日は授業前の午前7時半に選手が集まる。以前は「全県優勝」を連呼し、06年春の秋田県大会を初制覇して実現すると、「甲子園勝利」にグレードアップした。出場は今春のセンバツでかなったが、まだ試合はしていない。達成されていない目標を昨年の秋、さらに高く設定した。

 昨秋東北大会で準優勝して、センバツ出場を確実にした。その直後、岡本主将が「甲子園の勝利だけじゃ、てっぺんは取れない」と発案。チームメート、阿部大樹監督(43)も賛成して「甲子園優勝」に変えた。同監督は「何回も言っていると、そういう思いが湧き上がってくる」と連呼の効果も説明した。

 センバツへ本格始動した。室内でのサーキットトレーニングから始まり、雪上ランニング、投手、内野、外野に分かれたメニュー。阿部監督は「(大会まで)長いようで長くない。短い中での積み重ねが力になる」と伝えた。その言葉を忠実に守るように、選手に浮ついた雰囲気は全くなかった。

 来月7日から、地元・大仙市内の施設を借りて8日間の合宿に入る。室内では3人の打撃練習が可能で、阿部監督は「投手を打者に投げさせたい」と、より実戦に近いメニューを予定している。毎朝に「甲子園優勝」を口にしながら、大曲工が3月21日の開幕まで、徐々にピッチを上げていく。【久野朗】