<センバツ高校野球:智弁和歌山2-1宇治山田商>◇30日◇3回戦

 聖地には珍しい光景だった。8回、智弁和歌山のピンチ。マウンドの林に森本祥太捕手(3年)が歩み寄り、左ほおにキスした。勝利のおまじないで乗り切ると、和歌山県勢通算200勝とともに、同校春5年ぶりの8強進出を決めた。

 「味方を信じて我慢しようと思った」。初戦に続き好救援の林は、大会直前の練習で外野フェンスに激突して7針縫う大流血。3週間前にひいた風邪も完治しないまま5回2/3を無失点。高嶋仁監督(61)は「林がよく投げた」とたたえた。

 この力投に打線が、バックが援護した。延長10回の守備では、2死二塁から大飛球を田甫(たんぼ)淳中堅手(3年)が背走して好捕。ビッグプレーでサヨナラ負けを阻止すると、直後の11回1死二塁から高橋義人外野手(3年)が左翼線に勝ち越し打を放った。これで甲子園での延長戦は春夏合わせ9連勝。2戦連続逆転勝利の勢いを、東洋大姫路(兵庫)との近畿決戦にぶつける。【大池和幸】