<高校野球三重大会:菰野5-2宇治山田商>◇26日◇決勝

 宇治山田商のエース平生が不完全燃焼で最後の夏を終えた。立ち上がりから自慢の直球が走らない。得意のスライダーも菰野打線に見極められた。初回から3回まで1点ずつ失った。5回、先頭打者に二塁打を許すと5番西の犠打を一塁へ悪送球。続く6番小谷将人一塁手(1年)の犠打も体勢を崩しながらつかんだが三塁へ再び悪送球。自らの失策で痛恨の2点を失い、途中降板となった。

 満身創痍(そうい)だった。センバツ後に腰を痛め、大会前の投げ込みが不足していた。その影響で9回を投げ切った3回戦の松阪戦後に右太もも内転筋を痛めた。この日、中盤以降は投げるたびに足がけいれんを起こした。痛む右足は、すでに限界を通り過ぎていた。試合後は「最初から全然だめで…。途中でマウンド降りた僕の負け」と声を絞り出し泣きじゃくった。

 それでも初回、西の打席ではライバル意識むき出しにいずれもストレートで3球三振を奪い、意地を見せた。今春のセンバツの安房(千葉)戦で甲子園での春最速となる153キロを計測したプロ注目の豪腕。悔しさを晴らす舞台はきっとまたくる。