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本荘・池田179球力尽く/夏の甲子園

9回裏鳴門工1死満塁、松浦(左)にサヨナラ適時打を打たれた本荘の池田
9回裏鳴門工1死満塁、松浦(左)にサヨナラ適時打を打たれた本荘の池田

<全国高校野球選手権:鳴門工4-3本荘>◇4日◇1回戦

 入魂の夏が終わった。本荘(秋田)が3-4で鳴門工(徳島)に逆転サヨナラ負け。4度目の出場で初勝利を惜しくも逃した。9回表2死三塁から、エース池田恭介投手(3年)の右翼越え二塁打で勝ち越し。だがその裏、3-3の同点に追い付かれ1死満塁からサヨナラ打を浴び力尽きた。それでも9奪三振の179球で完投。県大会から合わせ6戦844球を1人で投げ抜いた。秋田県勢は初戦11連敗となったが、トルネード左腕が聖地で輝きを放った。

 179球目に投じた直球が、必死に背走する左翼手の頭上を越えた。「終わったんだなあ」。打球をぼうぜんと見送った池田は、少し苦笑いを浮かべた後、重い足取りでマウンドを降りた。「向かっていく気持ちが足りなかったのでしょう。最後を抑えれば勝てた試合だけど力が及ばなかった」。涙はなかった。

 9回に待っていたミラクル逆転劇、それを再逆転された喜悲劇。自ら勝ち越し二塁打を放ち、気分よくマウンドに上がった、その裏だ。1死二塁で、先制本塁打を浴びた相手4番安岡瑞葵遊撃手(2年)を敬遠。サヨナラの走者になるリスクは承知の上でベンチ、バッテリーは併殺での逃げ切りを狙った。勝っても負けても9回でケリをつけさせたい-。そこまで169球を投げた池田への、そんな配慮もあっただろう。

 だが結果的に功を奏さなかった。「敬遠したくなかった。あれで集中力が切れたかもしれない。本塁打を打たれていたので、しょうがないが」。100%割り切った上での敬遠策ではなかったのだろう。聖地に池田は一抹の悔いを残した。

 試合直前にはアクシデントもあった。県大会の疲れから、大阪入り直後の先月28日に熱射病と夏かぜでダウン。翌29日に点滴を打ち2日間、練習を休んだ。宿舎でおかゆを食べる生活。1日、2日は100球ずつ投げ込む急ピッチの調整を強いられた。それでも「調子は悪くなかった」と言い訳せず黙々と投げ続けた。

 同校悲願の初勝利、秋田県勢の初戦連敗(10)阻止を目前で逃したが昨秋、今春と県大会にも出ていないチームがここまで来た。弱い-と選手を咤(しった)しながら、尾留川徹監督(48)は池田を中心とした守備に力を注いだという。ノーシードの夏は「池田と心中する」と言い続け、最後までマウンドを託した。

 「よくこの暑い甲子園で投げ切った」と同監督。2年前の甲子園でボールボーイだった池田にとっては、文字通りの夢舞台だった。「見るのと違って、フィールド内を楽しんで投げることができた」。この夏、844球を投げ抜いたトルネード左腕の顔に、甲子園に降り注いだ太陽のような、明るい笑みが浮かんだ。【清水智彦】

 [2008年8月5日11時22分 紙面から]


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