慶応「ON」連続完封リレー/夏の甲子園
<全国高校野球選手権:慶応2-0青森山田>◇14日◇3回戦
慶応(北神奈川)が、2-0で青森山田を破り、優勝した第2回大会以来92年ぶりの夏3勝を挙げた。「力道山の孫」田村圭投手(3年)と只野尚彦投手(3年)の“慶応ONコンビ”が、2試合連続の完封リレー。1点差の7回2死から投手交代する奇策が決まり、88年ぶりの8強進出を決めた。
特命を受けた只野は、やはり頼もしい。7回2死、3安打無失点と好投する田村の立つマウンドに、ダッシュで向かった。キョトンとする田村からボールを受け取ると、クールな表情で打者を見つめた。田村と青森山田の相性を考えると、常識では考えられない継投。上田誠監督(50)は「正直迷った。ただ神奈川からこのリレーで勝ってきた」と送り出した。只野は交代直後に二塁打を浴びたが、きっちり後続を断った。
奇策は同宿の横浜・小倉部長のアドバイスが効いた。上田監督が只野の立ち上がりの悪さを相談をすると「回の頭からリリーフさせると力むことがある。2死走者なしの場面がいい」と言われた。田村も「びっくりしたけど、僕は早く代わりたかった。ツーベースがノーアウトからだったらつらいですから」と納得。只野はスライダー、シンカーのコンビネーションを軸に2安打無失点で締めた。92年ぶりの夏3勝を、2試合連続完封リレーで勝ち取った。
格闘家、力道山の血を引く熱い田村と、クールな只野。背番号1と3から慶応の“ON”と呼ばれ、性格は違うが仲はいい。2回戦終了後には近所の温泉でリフレッシュ。「僕がからかって」(田村)「それを無視する」(只野)と相性は抜群だ。
只野は野球に生きると、選択授業で栄養学を学ぶ。同教科では学年トップの成績を誇り、体作りの基礎にする。今大会出場全選手に行うアンケートでは、関心のあることに「原油高の高騰」を挙げる。センバツ時は「マクドナルドの残業問題」だった。時事問題を書くのは全国で只野だけで、文武両道の申し子だ。
この日、午前6時15分からの散歩は「笑う」トレーニングから始まった。約20秒、とにかく大声で笑ってリラックス。試合直前、上田監督は「僕らは今日まで。明日の朝10時の新幹線で帰りますから」と“敗北宣言”していた。只野も「勝利、勝利だけじゃない」と言う。悲壮感とは無縁の笑う慶応に、大きな福が来る予感が漂う。【前田祐輔】
[2008年8月15日9時2分 紙面から]
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