全国高校野球選手権(甲子園)に出場する常葉学園菊川が16日、準々決勝の第1試合(午前11時)で智弁和歌山(和歌山)と対戦する。前日の15日は西宮市の鳴尾浜臨海公園で約3時間、3年生にとって最後の練習。エース戸狩聡希(3年)が初戦前日の8日以来、7日ぶりにブルペン入りした。投手陣は3回戦で好投した野島大介投手(3年)を中心にフル回転し、打線は大量援護で2年連続の4強入りを狙う。準決勝の組み合わせ抽選が行われ、17日の第1試合(午前11時開始)で浦添商(沖縄)との対戦が決まった。

 戸狩が悲壮な覚悟を示した。初戦の福知山成美戦(9日)以来となる投球は、変化球を交えて25球。5~6分程度とはいえ、球速は100キロ前後しか出ない。「甲子園まで来て投げられないのはつらい。ひじとか関係ない。甲子園が終わってから治す。完全燃焼したい。中川(雅也右翼手=3年)が投げたらライトに入って、全部出たい」。時折笑顔をのぞかせるなど、ベンチで涙を流していた前日よりは一歩前進。だが、先発を直訴するというが、完調に遠いのが現状だ。

 投手陣の起用法について、佐野心監督(41)は「いろいろな状況を考えて判断する。あいつら(3年生の戸狩と野島大介投手)で勝ってきたチーム。みんなが納得するようにする」と話した。大会屈指のスラッガー坂口真規内野手(3年)の打席に、戸狩をワンポイントリリーフさせる可能性もある。

 3回戦(対倉敷商)で好投し、軸として期待される野島はブルペンで30球を投げた。「小学校の時から有名なチームとやれるのは楽しみ。すごい打線だけど、抑えたら自信になる」と意気込む。前日に続き、投手経験のある中川雅也右翼手(3年)も投球練習。3回戦で先発した萩原大起(2年)らを含め、登板順は流動的だが、投手は総動員態勢だ。

 野手陣は大量得点で援護する。3番前田隆一主将(3年)は、強打の智弁和歌山を意識し「2けた取らないと勝てない。(静岡大会)決勝みたいにみんな打ったら楽しい」。3回戦で13安打11得点した打線は上向き。県勢の2年連続4強入りとなると、39、40年の島田商(4強、準優勝)以来、68年ぶりとなる。【斎藤直樹】