夏の晴れ舞台への道中が暗転した。全国高校野球選手権大会大分大会の開会式に向かっていた高校野球の有力校、私立柳ケ浦高校(大分県宇佐市)の野球部員を乗せたバスが横転。地元消防によると、1人が死亡、45人が搬送された。病院には関係者が悲痛な表情で訪れ、学校は情報収集に追われた。

 同県日出町の病院に運ばれて軽傷だった2年の男子部員は「うとうとしていたら、カーブでハンドルを大きく切ったので目が覚めた。その後何度もハンドルを左右に切り、横転した」とぼうぜんとした表情。

 車内では「早く逃げろ、急いで出ろ」と大声が飛び交い、上を向いた車体右側の窓を開けて脱出したという。この部員は死亡した吉川将聖君(16)とは同学年で同じ寮生活だった。「今朝まで一緒だったのに」と言ったまま黙り込んだ。通路では部員2人がユニホームを着たまま、通路のいすに座り込んでいた。

 負傷者5人が搬送された同県別府市の新別府病院には「YANAKO」とプリントされた青いTシャツを着た生徒の母親とみられる女性が涙ぐみながら来院。夫とみられる男性は「学校にどういうばかなことをしたか聞いてくれ」と話した。

 日出消防署によると、救急隊が駆け付けた当時、事故現場は雨でぬれており、バスは左側を下に横転していた。死亡したとみられる生徒のほか、負傷者が路肩に横たわり、ほかの生徒も泣くなど取り乱した様子だったという。

 柳ケ浦高によると、横転したバスに乗っていたのは控えの選手ら。同校は緊急の職員会議を開催。馬場崇夫教頭は「死亡したのが生徒だと聞いている」と声を落とし「各病院に教諭を派遣しているが、詳しいことが分からない」と力なく話した。

 大分市内での開会式は予定通り午前10時から開かれ、11時前に終了。県高校野球連盟は「情報が入り乱れている」と焦った様子。柳ケ浦高はレギュラーの選手が開会式に出席したという。