「ハマのゴジラ」が再び甲子園の地で大暴れをもくろむ。今秋のドラフト1位候補、横浜(神奈川)筒香(つつごう)嘉智内野手(3年)は、驚異的なペースでアーチを量産している。8日に横浜スタジアムで行われた横浜商大高(神奈川)との練習試合では、高校通算67本を放った。主将も務める今年、チームを率いて、レッドソックス松坂を擁した98年以来の全国制覇を狙う。

 超大型スラッガーは、2日後に開幕を控えた県大会で何本のアーチを見せてくれるか。8日に大会前最後の実戦を終え、高校通算67本で夏を迎える。

 小倉清一郎部長(65)は「本当は今ごろ86本を超しているかもしれない」とぽつりと言った。2年秋、疲労からの腰痛で1カ月以上戦線離脱した。約40試合は出場できなかったという。それでも今年3月から27本、6月は自身月間最多の9本と、量産ペースに入っている。

 本家ゴジラ、ヤンキース松井の記録を抜き、よく比較された。だが本人は「自分流でやってきました。自分の感覚が一番大事だと思うので」と、誰かを意識したことはない。不調のときはひたすら自分のビデオを見てフォームやタイミングの取り方を研究する。春の関東大会後は打撃練習で、これまで打ち損じてきた変化球の割合を増やした。5月の花巻東(岩手)戦では、今秋のドラフト目玉、菊池のカーブをとらえスタンドへ運んだ。

 和歌山県で生まれ育った。レッドソックス松坂が春夏連覇で活躍した98年、当時6歳だったが、甲子園に3回も足を運んだ。あこがれの存在を追い、最高の指導者のもとで、と実家を離れ横浜に入学した。1年冬、同校に訪れたオフ中の松坂から励ましのエールを受けた。自身の活躍を知っていてくれたことに「あこがれの人だったのでうれしい気持ちでいっぱいだった」と、目を輝かせた。12球団から注目を受けている逸材。「プロ選手になって実力が伴ったら」と、将来は先輩と同じメジャー挑戦も夢見ている。

 記録には無関心だと言い続ける。心身を成長させてくれた横浜の勝利のために力強くバットを振り抜く。初戦は15日、横須賀明光-金井の勝者と対戦。「ハマのゴジラ」の夏が始まる。