<高校野球大分大会>◇16日◇2回戦

 大分大会V候補筆頭の明豊の今宮健太(3年)が夏の初戦で3打席連続本塁打を放った。日田戦の初回、今夏第1打席に左翼へ豪快な先制2ラン。その後も左越えに連発し、12-2の6回コールド勝ちにチームを導いた。センバツで花巻東の超高校級左腕・菊池雄星(3年)にねじ伏せられた屈辱をバネに、センバツ後だけで30本塁打を量産。高校通算62発とし、リベンジの夏のスタートを切った。

 スタンドが一瞬静まった直後、どよめいた。4回裏1死二塁。フルカウントから、今宮が鋭く内角球を振り抜くと、快音を残して、白球が左翼席に突き刺さった。3打席連発。1、2打席目からの再生VTRのような光景だ。高校通算62号。「(3打席目は)正直狙いたい気持ちはありました」。15日に18歳になったばかりのスラッガーは、あどけない笑顔を見せた。

 「悔しさ」が、本塁打を量産させてきた。通算32発で臨んだ今春センバツ。2回戦で152キロ左腕・菊池擁する花巻東と対戦し、12奪三振で完封負けした。「100%内角に来るとわかっていても、菊池君の球は打てなかった」という。「自分で見るのも恥ずかしい」という惨敗のビデオテープを寮で何度も見て、屈辱を目に焼き付けた。

 あの内角快速球を打ち返すため、打撃練習ではマウンドより前から、思い切り内角に投げ込んでもらってきた。「あれ以来、大分のチームもみんな内角を攻めてくる」という。この日は3発とも内角球をはじき返してみせた。

 大会前、最後の練習試合となった4日の清峰(長崎)戦で、菊池と並ぶセンバツV右腕、今村猛(3年)から通算59本目を放った。センバツ前から倍増という驚異的ペースでアーチを放っている

 171センチ、68キロという小柄な体形に加え「筋トレはしたことがないです」と話す。「筋トレすると背が伸びないって聞いたので。できればもう少し大きくなりたい」と今宮は照れた。そして続けた。「菊池を倒すためにここまでやってきた。大分で負けるわけにはいかない」。最後の夏、初打席からの3連発。今宮のリベンジの気持ちは、半端ではない。【倉成孝史】