<高校野球青森大会>◇16日◇2回戦

 ノーシードの青森山田が、春準優勝で第2シードの弘前学院聖愛を2-0で破った。エース斎藤英輔(3年)が、5安打無四球で完封。7回に自らのタイムリーと敵失で挙げた2点を守り、大会序盤の大一番を制した。昨秋腰を痛め、今年も不調だったエースが高校初完封&初無四球試合で復活。6連覇へ向けて弾みをつけた。

 最後の打者を右飛に打ち取ると、斎藤は両手を力強く挙げ、氏家彩斗捕手(3年)と笑顔でグラブタッチした。最速142キロの速球とスライダーで、今春東北大会8強の強豪を89球で完封。奪三振は4で丁寧に打ち取った。前日の雨天中止で順延された大一番。満員の観衆の前で、復調した姿を強烈にアピールした。

 「相手に、先に点を取られたくなかった。自分でできるだけのことをやりました」と斎藤は落ち着いた口調で話した。試合中盤で渋谷良弥監督(62)から「今日は最後までお前で行くぞ」と言われ気合が入った。7回には自らのバットで先取点をたたき出し「あれで気が楽になった」という。

 昨夏の甲子園。慶応(神奈川)に0-2で敗れた3回戦で、最終1イニングを無失点に抑えた。MAX145キロを出し注目された。だが、秋に腰を痛め満足に投げられなかった。回復した今春も、青森地区予選で青森北によもやの敗退。先発した斎藤は5回2失点で降板した。夏5連覇中の青森山田が、県大会にも出られない屈辱。エースとして責任を感じていた。

 最後の夏の、最初の登板で高校初の完封。渋谷監督は「出来は最高ではない。60点ぐらい。でもエースの意地だね。よく抑えてくれた」と目を細めた。バックは無失策で斎藤をもり立てた。ネット裏が息を潜める投手戦を制し、エースとともに強い青森山田が復活。だが斎藤は「勝った瞬間はうれしかったが、まだ先がある。1つずつ勝っていく。そしてまた甲子園に行きます」とあくまで冷静に先を見据えた。【北村宏平】