<高校野球広島大会>◇18日◇2回戦

 3年連続20度目の甲子園出場を狙う広陵は、有原航平投手(2年)が延長11回1安打完封の活躍で、第3シードの吉田に1-0サヨナラ勝ちした。

 圧巻の投球だった。2年生の有原がスコアボードに「0」を11個並べ、サヨナラ勝ちを演出。7回1死に死球を出すまでパーフェクト、8回1死にポテンヒットを許すまでノーヒットノーラン。抜群の制球力で凡打の山を築き、延長11回を1安打完封した。三塁を踏ませぬ力投に「スライダーが良かった」と笑った。

 昨夏、有原は甲子園のスタンドから2学年上の中田、前田、森宗の“広陵3本柱”の勇姿を目に焼き付けた。入学して間もなく「レベルの違い」(有原)を肌で感じた名門の投手陣。今ではその先輩からマウンドを託される大黒柱に成長した。試合前日、広島にドラフト2位で入団した中田から、電話で「お前ならやれる。お前らなら(甲子園に)行ける」と激励された。その励ましに、自身初の公式戦完封勝利で応えた。

 有原の熱投に応えたのが女房役の石畑桂佑捕手(3年)だ。延長11回1死二塁から4番丸子を歩かされて迎えた場面。「1年生が敬遠された…。自分が勝負を決めてやる」と右前にはじき返した。9回の同じ場面ではチャンスをつぶした主将が、値千金の一打で投手戦にケリをつけた。

 大会直前に生徒の新型インフルエンザ感染が確認され、練習も限られた。6-1で勝った福山葦陽との初戦も、相手投手の乱れから得た初回の4点が大きく、快勝とは言えない。そしてこの日も延長11回までもつれた。

 しかし「新型インフルエンザ騒動を(苦戦の)理由にしたくない」と石畑主将は言う。逆境に打ち勝つ広陵のDNAは、現チームにも受け継がれている。【佐藤貴洋】