<高校野球長崎大会>◇25日◇準決勝

 長崎日大が2年ぶりの決勝進出を決めた。瓊浦との準決勝。準々決勝で、センバツV腕の清峰・今村猛(3年)に投げ勝ったエース大瀬良大地(3年)が8回まで無安打投球。9回に初安打を許し一打逆転のピンチを背負ったが、3-2と逃げ切った。

 「清峰撃破」が偶然でないことを証明した。長崎日大決勝進出の立役者は、もちろんエース大瀬良だ。186センチの長身から最速は145キロ。キレのあるスライダーを武器に、8回まで瓊浦打線を無安打9奪三振と完ぺきに料理した。「(清峰戦と)調子自体は同じくらいでした。(無安打は)終わって仲間に言われるまで本当に知りませんでした」と快投を振り返った。

 惜しくも快挙は逃した。3点リードの9回表。あと3人をこれまで同様に抑えればノーヒッター。球場全体の期待が高まる。先頭打者を2―1と追い込んだ。ここで、相手ベンチからタイムがかかる。「代打、大島」。一瞬とまどう大瀬良。「大島君は中学校が隣だったので知り合いなんです。だからそういう作戦なのかな、とか余計な事を一瞬だけ考えてしまいました」と右腕はマウンドでの心境を振り返った。

 この「戸惑い」が快挙から一転、ヒヤヒヤ劇を呼んだ。代打・大島の打球はフラフラと二塁後方へ。これが風で右翼線へ流され、二塁打となった。そこから不運なヒット、味方失策、死球が重なりあっという間に1点差。なおも1死満塁で一打逆転のピンチ。続く6番打者が強烈なライナーを放った。「ヒヤっとした」と大瀬良。打球は一塁手のミットに収まって併殺で試合終了。大瀬良は「ヨッシャー」と雄たけびを上げナインと抱きついた。

 金城孝夫監督(55)は「これが野球。打ち取った当たりが安打になって、最後はいい当たりなのに正面にいった。最後にうちにツキがあった」とヒヤヒヤ勝利に胸をなで下ろした。「でも、最後にいい試練を与えてくれたんじゃないかな」と同監督。全国4強に輝いた07年以来の甲子園切符まで、あと1勝だ。【倉成孝史】