<高校野球宮城大会>◇29日◇準決勝

 4連覇を狙う仙台育英は気仙沼向洋を3-0で破り、4年連続32度目の決勝を決めた。

 “脇役”がマウンド上で躍動した。エース穂積優輝(3年)を右足首靱帯(じんたい)損傷で欠き、田中一也(2年)が公式戦初先発。「めっちゃ緊張した」と話すが、8回3安打15三振で無失点と好投した。同学年の投手、木村謙吾の陰に隠れてきたが、大事な一戦で大仕事をやってのけた。

 この日、Kスタに到着し先発を知った。「穂積さんの分で投げさせてもらってる」と自覚する田中は「試合内容を覚えてない」と話すほどの全力投球。穂積に「落ち着いて」と励まされながら、マウンドを守った。

 「手負いのエースを甲子園へ」と、穂積のけが以来、より結束力が高まった。佐々木順一朗監督(49)は「チームに活を入れるため」と8回1死、穂積を代打で出場させた。遊飛に倒れたが「打席に立つのはこんなに楽しいものなんだ」と穂積。初めて2戦連続でスタメンを外れ、野球の楽しさも再確認した。

 決勝での先発マウンドへ穂積は「投げる準備はできてます」と気合十分だが、一塁ベースを右足で踏み「痛かったし、怖かった」と振り返る。佐々木監督も「ブロック注射をしている状態。投げるのは厳しいかな」。泣いても笑っても決勝戦。手負いの穂積も含め、全員野球で4連覇を目指す。