<高校野球大阪大会>◇1日◇決勝

 全国最後の甲子園切符は、PL学園がつかんだ。PL学園は関大北陽に10-0と圧勝し、5年ぶり17度目の出場を決めた。1番の吉川大幾外野手(2年)が今夏2本目の先頭打者弾を含む2本塁打を放ち、大会通算5本塁打。大先輩の元オリックス清原和博の2年時の4本を超えた。

 全国最後の決勝で、スターの座を不動にした。吉川が先頭打者弾、第3打席の高校通算14号ソロで今夏通算5本塁打。清原の2年時4本を抜き去り、「大阪代表の誇りを持って絶対に優勝したい」と宣言した。

 早々と勝利の女神を引き寄せた。カウント1-2からのストレートをファウル。この1打で「相手のストレートのタイミングを完全につかんだ」という。フルカウントからの6球目、低めの直球をバックスクリーンに運んだ。4-0の4回にはスライダーを左翼席に運び、自身初の1試合2本塁打と、「恐怖の1番」を印象づけた。

 入学時から逸材だった。昨年の8月下旬にコーチに就任した87年春夏連覇時の主砲、深瀬猛氏(40)は「高めの球を打ちにいっても、あいつは負けない。リストが抜群に強い」と素質を見抜いた。強肩俊足に加え、リズム感も抜群。夕陽丘中3年の文化祭で「やれる人間がいないから」と、いきなりクラスメートからドラマーに指名された。スポーツ万能でも、楽器は未知の世界。帰宅後午後10時から毎日2時間、重ねたマンガをたたいてスティックさばきを練習。見事にドラマーを務め上げた。その感覚が「足の切り返しとか激しい動きなどにリズムがあって今に生きています」とソフトボールのコーチだった父雄司さん(52)は言う。姿勢もひたむき。河野有道監督(60)は「秋からの新チームのキャプテンです」と絶対の信頼を置く。

 大会3本塁打の4番村田穏行(やすゆき)内野手(3年)が「1番があんなに打つから、PLの4番はどれだけすごいんや?

 と思われてめっちゃプレッシャーかかります」と笑う。この日、富田林の夜空を彩ったPL花火芸術に負けない大会チーム12アーチをグラウンドで打ち上げた。【堀まどか】

 ◆PL学園

 1955年(昭30)に創立の私立校。普通科のみで、生徒数は313人(女子116人)。野球部は56年創部で、甲子園は春20回、夏は16回出場。野球部員は63人。OBには元オリックス清原和博、元パイレーツ桑田真澄、中日立浪和義らがいる。所在地は富田林市喜志2055。正井一真校長。