<全国高校野球選手権:西条3-2八千代東>◇8日◇1回戦
プロ注目の「伊予ゴジラ」、西条(愛媛)秋山拓巳投手(3年)が最速148キロで同校47年ぶりとなる夏の勝利に導いた。3安打完投で、初出場の八千代東(千葉)を破った。
噴き出る汗は、真夏の暑さとともに苦しんだ試合展開を象徴していた。7回に同点に追いつかれ、8回に勝ち越す1点差勝利。それでも、西条にとっては特別の重みがある白星だった。夏の甲子園では、実に47年ぶりの1勝。自身の年齢を超える空白に46歳の田辺行雄監督は「そんなになるんですか…。苦しんだ末の校歌だったのでうれしかった」と感慨深げだった。
マウンドでは、ネット裏から熱視線を浴び続けた秋山も、汗をぬぐった。最速150キロ、そして高校通算48本塁打と投打でプロから注目される。八千代東打線をわずか3安打に抑えた。初戦の緊張からか、勝負どころで甘く入り、7回に同点とされる。「内容はよくなかったが、まずは1勝と思っていたので」。それでも148キロを2度マークして無四球。全12球団のスカウトの目を引き寄せた。
最後の打者、高橋は147キロ直球で投ゴロに仕留めた。「自分で行きたかった」と野手を制して、一塁を駆け抜けた。バットでは快音は響かなかったが、9回に入っても速球は140キロ台をマークした。114球中、56球が140キロを超えた。「スピードが落ちなくなったのは、成長しているからだと思う。直球だったら抑えられる自信があった」と、怪物の片りんは見せつけた。
「宝物」を授けられ、負けられなかった。愛媛を出発した3日、優勝した59年夏の「甲子園の土」がチームに届いた。手のひらサイズの木箱に入った聖地の土。8回2死一、二塁から執念で左前決勝適時打を放った8番打者の日野は「土に触りアドレナリンが出た。ここで打たなきゃ男じゃない」と感謝した。47年ぶりの空白を乗り越えた。その中心に座る「伊予ゴジラ」の夏は、これから本格化する。【佐藤貴洋】

