高校野球特集第4回は全国の注目投手にスポットを当てる「ピカ一投手編」。今秋ドラフト候補のつくば秀英(茨城)塚原頌平投手(3年)は、最速146キロの直球とフォークを主体に昨秋以降の公式戦全6試合で、58回2/3を投げて60三振を奪った。茨城のドクターKが、甲子園初出場を狙う。東海大相模(神奈川)のドラフト1位候補、一二三(ひふみ)慎太投手(3年)、197センチ右腕、浦和学院(埼玉)南貴樹投手(3年)ら、各地区の担当記者がイチオシ投手を挙げた。

 塚原は究極の理想を口にした。「県大会は、真っすぐだけで抑えられるようにしたい。そうすればチームも楽になる。実際には難しいけど、極限まで真っすぐのキレを良くしたいという意味です」。春から1キロ増した最速146キロの直球を常に投げることよりも、140キロ前後のキレのある直球で抑えることを心掛けている。

 130キロ近いフォークと直球を投げ分ける。昨秋、今春の公式戦全6試合で58回2/3を投げ、奪った三振は60個。昨夏の大会前、139キロだった球速は、大会に入って143キロまで伸びた。実戦で力を発揮するタイプだ。一方で、力んで投げては痛打されることも多かった。「どれだけ速い球を投げても打たれる。プロ野球を見てても常時140キロで抑えている投手はたくさんいる」と冷静に言う。

 直球のキレを求め、長さ約70センチの木製の棒を使った「棒シャドー」でフォームを固めてきた。股(こ)関節の動きを意識しながら、風を切る。「良い練習になる」と言う沢辺卓己監督(35)によるとタオルよりも、腕が体の内側に振り抜きやすくなり、体が開かなくなるのがメリット。小学校時代には空手で関東を制したほどの腕前で、突きを出すときの腰のひねりが投球動作にも生きている。30メートル先の外角低めに投げ込む投球練習で制球力と直球の回転数に磨きをかけ、砂地のトラックで走り込んで下半身を追い込んできた。

 沢辺監督は、同校出身でパ・リーグ初の育成選手出身で勝利投手となったソフトバンク山田を引き合いにだし「この時期では、塚原の方が資質は上。あとは、キレと制球です」と太鼓判を押す。毎晩米1キロをノルマにし、体重は春から3キロ増の79キロに。着実に投手としてのスケールは大きくなっている。初戦の2回戦は16日。土浦日大、水城、東洋大牛久らがひしめく「死のブロック」に入った。塚原は「自分たちの代で秀英の歴史を変えたい」と、自慢の直球を武器に、甲子園のマウンドを目指す。【今井恵太】