<高校野球福岡大会>◇9日◇2回戦

 プロ注目捕手、福岡工大城東の大型捕手、中谷将大捕手(3年)が筑紫中央との今夏初戦に登場。巨人などプロ10球団のスカウト陣がネット裏に集結した中、中谷は6-0の7回裏に特大2ランの見事な“サヨナラ弾”で、8-0のコールド勝ちを決めた。

 やはり「もっている」男だ。福岡工大城東6-0リードの7回裏1死二塁というおいしい場面が、4番中谷に回る。甘く入った初球を逃さない。舞い上がった打球は、左中間席深くに飛び込んだ。高校通算20号は、コールド勝ちを決める“サヨナラ弾”。「少しつまった感じで、感触はよくなかったんですが」。最高の場面で最高の結果を出すのが、非凡の証明だった。

 身長184センチの大型捕手。今秋ドラフト候補の初陣に巨人、ロッテなど10球団、20人以上のスカウト陣がネット裏に集結した。巨人の山下スカウト部長は「スケールが大きい。体の大きさが魅力。打撃と肩がいいね」と注目点を並べた。熱視線を一身に集めた中での豪快アーチ。プロの目をあらためて引きつけた。

 小3で野球をはじめたときから捕手。自ら志願したという。普通なら少年たちに敬遠されがちなポジション。しかし、中谷は「ボクはみんなと違う視線でいたんで」と言った。そして確かに1人だけ視線が違う守備位置についた。外野手でベンチ入りした昨年夏以外は捕手ひと筋。「(阪神)城島さんが目標です」と目を輝かせる。

 昨秋は九州大会準々決勝で敗れ、センバツ出場を逃した。その悔しさからチーム全体で1日9時間近く、バットを振り込んできたという。「秋に負けた悔しさをこの夏に思い切りぶつけるためです」。チームにとっては頼もしい柱。山本宗一監督(31)は「見ての通り、今年は中谷のチーム。でも、ちょっと調子に乗りやすいところが、ね」と笑って言った。【実藤健一】