<高校野球西東京大会>◇24日◇準決勝

 西東京大会準決勝の「日大対決」「早大対決」に神宮が沸いた。春の都大会を制した日大鶴ケ丘がセンバツ準優勝の日大三を延長14回の死闘の末、6-5で下した。8回途中から救援した岡孟杜(たけと)投手(2年)が最速145キロの直球を主体に強力打線をねじ伏せた。41年ぶりの対決は、早実が“本家”早大学院に7-3で貫禄(かんろく)勝ち。26日の決勝は08年と同カードになった。

 マウンドの岡には、笑顔を見せる余裕すらあった。1点を勝ち越した延長14回裏、1死から四球で走者を許す。だが最速145キロで後続を難なく打ち取り、ガッツポーズ。4時間16分に決着をつけた。センバツで大会最多塁打記録を更新した強力打線を封じ込んだ。8回途中から6回2/3を3安打5三振無失点で、2年ぶりの決勝に導いた。

 1点リードの8回裏、先発の左腕岡崎裕一(3年)が連打を浴びて1死満塁になった。再逆転のピンチで171センチ、63キロの小柄な右腕がマウンドに上がる。不動の3番吉沢翔吾内野手(3年)を迎えたが、落ち着いていた。初球は真ん中に98キロのスローカーブ。「自分の投球は緩急が一番大事。開き直って投げました」とケロリと振り返る。2球目の直球は143キロを計測。45キロものスピード差にスタンドがどよめく。4球目のスライダーで投ゴロに仕留めた。押し出しの死球で追いつかれたが、最後まで投げきった。

 入学後に肩の良さを買われ、内野手から転向した。優勝した春の都大会で初のベンチ入り。4回戦の日大三戦で岡崎を救援し、4イニングを無失点と好投。勝ち進むうちに岡崎-岡の必勝リレーが完成した。ストッパーの大役を担うが、大会直前の7月初旬にバスケットボールの授業で右手人さし指を突き指した。「責任感がない」と萩生田博美監督(37)に怒られたが、やっと信頼を取り戻した。

 昨夏を制した「三高」には昨秋は1点差で敗れたが、春は雪辱。1勝1敗で迎え、決着をつけた。同監督は「早実対三高を見たかったと思うけど、選手は粘ってくれました」と、“兄貴分”へのライバル心をのぞかせた。チームのモットーは笑顔で、スタンドの選手は「笑鶴」と書かれたシャツを着用する。笑顔で甲子園切符をつかみに行く。【木南友輔】