<高校野球神奈川大会>◇24日◇5回戦

 東海大相模が5-0で鎌倉学園に完封勝ちし、ベスト8に勝ち進んだ。

 うだるような暑さの中で、東海大相模・一二三(ひふみ)慎太投手(3年)の直球が風を切った。

 1回2死走者なし。鎌倉学園の3番、池田に投じた3球目。ファウルされたが投球が、スカウトのスピードガンで150キロをマークした。「練習以上に球が走っていた。サイドにして良かった」と自身も驚く好調ぶりだ。これまでの最速は上手投げで149キロ、横手では146キロ。上手投げの好調時と遜色(そんしょく)ない剛速球が次々ミットに吸い込まれ、国内7球団11人のスカウトの目をくぎ付けにした。終わってみれば、直球とスライダーだけで9安打6奪三振。スコアボードに9個の0を並べていた。プロ注目右腕が鎌倉学園戦でサイドスローに転向後、初完封。優勝候補筆頭だったセンバツで初戦敗退し、もがき苦しんだが「上(投げ)でも横でも、周りがエースと認めてくれている」と発奮した。

 先発した初戦は4回3安打1失点で、最速は139キロ。左肩の開きが早いために球がシュート回転し、簡単にミートされたと反省した。この日は肩の開きを抑え、より前でリリースするよう心掛けた。得意のバットでも2点目の適時打を放ち、盗塁も成功させるなど、走攻守に躍動した。

 同校33年ぶりの夏の大舞台まで、あと3勝。準々決勝で対戦する慶応には、大田泰示(現巨人)を擁した2年前に決勝で敗れている。「あこがれの先輩が負けた相手。必死にやりたい。今日の感覚を忘れないように帰ってシャドーピッチングします」。全国制覇を見据えるエースに、慢心はみじんもない。【鎌田良美】