<高校野球長崎大会>◇24日◇準々決勝

 待たせたばい!

 長崎商の最速148キロ右腕、竹野裕貴(3年)が準々決勝の鹿町工戦で今夏初めて登場した。0-0の6回から登板。清峰で昨春、センバツV投手になった今村猛(広島)の弟・賢(3年)との緊迫した投手戦で、1-0と投げ勝った。

 9回裏、竹野は先頭打者に二塁打され、大ピンチを背負った。「(ピンチを)楽しもうと切り替えました」。次打者のバントに素早く反応し、三塁へ送球。際どいタイミングで刺した。あとは「三振」のスイッチを入れるだけ。140キロのストレート連発で、最後の打者を狙い通り三振に仕留めた。ようやくの初登板に「スッキリしました」と満足そうな笑顔を見せた。

 昨秋の九州大会準々決勝で興南に0-2と敗れたが、今春のセンバツV腕・島袋と投げ合い、注目を集めた。NHK杯の長崎日大戦では148キロをマーク。しかし、竹野は「自分の投球は打たせて取るです」。この日も球速を抑えて、制球重視。勝負どころだけ力を入れて最速144キロを出し、5三振を奪った。西口博之監督(49)も「竹野は慎重に入っていた。いい内容だった」と評価した。冬場に110キロ以下のカーブを習得。走り込みと5キロ増の体作りで、下半身も安定し、制球力も上がった。

 この日の144キロも「(力の入れ具合は)7~8割です」と言ってのけた。「いずれ10割出します」と予告。長崎の怪腕は、まだ完全にベールを脱ぎ去ってはいない。【実藤健一】