<高校野球大分大会>◇27日◇決勝

 「太一カーブ」で甲子園へ乗り込むぞ!

 プロ注目の148キロ右腕、大分工の田中太一投手(3年)が明豊を破り、17年ぶり3度目の甲子園出場を決めた。9回、明豊の追い上げをしのいで3-2で逃げ切った。大分大会5試合32イニングで33奪三振の「九州のドクターK」が甲子園で三振を狙う。

 最後の試練を乗り越えた。1点差に追い上げられた9回2死二塁。大分工のエース田中はライバルの明豊山野恭介投手(3年)を直球で二ゴロにうちとった。春の県大会準決勝で敗れた相手にリベンジ、そして甲子園出場の2つの願いをかなえたエースは、マウンドで仲間と抱き合った。

 初戦で17三振を奪った「ドクターK」の看板は甲子園のために捨てた。「明豊は三振が取れる打線じゃないから、無理に三振を狙うと四球を出してしまう」と無駄な走者を出すことを警戒し、この日はわずか3奪三振。バックを信頼し内野ゴロで1つずつアウトを取った。6回には打球の処理で右薬指を突き指したが、終盤の明豊の追い上げをしのいだ。連投の疲れもあるが、この日の最速は143キロをマーク。常時140キロ台の速球で強力打線を2失点に抑えた。

 大分大会5試合で32回を投げ33奪三振。だが「ベストの6~7割」と納得はしていない。4月下旬に試合中に右ひじを痛め1カ月間、投球できなかった。1カ月もボールを握らなかったのは小2で野球を始めてから初めて。「不安はありました。みんなからも『夏に間に合うのか』と言われて」。6月に試合復帰するまで学校の70段の階段の昇降を毎日10セットこなし下半身強化に努めた。「リリースポイントが一定せずイメージ通りの球は行ってない。甲子園までに修正したい」と塔鼻充監督(54)はエースの課題を挙げた。

 三振へのこだわりは人一倍ある。「三振と取るのが一番楽しい」と言う田中が楽しみにしてるのは秋にマスターした高速変化球「太一カーブ」を甲子園で披露することだ。「太一カーブで三振を取ってみんなに知ってもらいたいです。20三振取りたい」。宝刀をひっさげて「九州のドクターK」が甲子園で全国の強豪に挑む。【前田泰子】