<全国高校野球選手権:興南9-0鳴門>◇10日◇1回戦

 興南(沖縄)のトルネード左腕、島袋洋奨投手(3年)が、史上6校目の春夏連覇に向けて7回無失点と好発進した。自己最速タイの145キロをマークし、5安打7奪三振で要所を締めた。打線は15安打の猛攻で、鳴門(徳島)に大勝した。

 沖縄のトルネード、興南・島袋が一回り大きくなって甲子園に戻ってきた。7回を無失点に抑え、待望の夏初勝利。春の主役となった左腕は、再び主役にふさわしい輝きを見せた。

 ピンチの場面は「こだわりがある」という直球で決めた。5回2死満塁では自己最速タイの145キロの直球で空振り三振を取り、7回2死三塁の場面も142キロの直球で見逃し三振。「三振を取れた球は自信になりました」。7回で116球、3暴投と制球に苦しんだが、5安打で要所を締めたのはさすがだ。センバツ以降に習得したフォークも織り交ぜてバージョンアップした姿を見せた。我喜屋優監督(60)は「プレッシャーもあったんだろうが、粘り強く抑えてくれた。それが島袋の成長した点ですね」と目を細めた。

 「島袋だけのチーム」ではない。春に猛打を誇った打線は夏も絶好調。初戦から今大会初となる毎回安打の15安打9得点で、春と変わらない力強さを見せた。1番国吉大陸が公式戦初本塁打を放ち、センバツで通算13安打で大会記録に並んだ我如古も3安打をマーク。「最初に点を取れたのが良かった」と我如古。攻守で全員がエースをバックアップした。

 我喜屋監督は「昨夏は失敗だった」と言う。空調の効いた室内練習場からグラウンドに出て急激な気温変化に対応できず、島袋は熱中症の症状が出て後半球威が落ちサヨナラ負けした。今年はアップの時は長袖のアンダーシャツを着込んだ。さらにベンチには黒糖、塩、梅干しなどを置き、熱中症対策も万全だった。

 「今日の投球を(捕手の山川)大輔と振り返って修正します」と島袋。1つ目の目標だった昨夏の初戦敗退のリベンジを果たし、もう1つの目標の春夏連覇へ突き進むだけだ。【前田泰子】