斎藤、家族の前で完全13球/MLB球宴
<オールスター:ア・リーグ5-4ナ・リーグ>◇10日(日本時間11日)◇AT&Tパーク
ドジャース斎藤隆投手(37)が、万感の思いで力を出し尽くした。初出場のオールスターで7回に7番手として登板。1イニングを3者凡退に仕留める好投を見せた。緊張と喜び、プロ16年目での成長の足跡を刻んだ13球でア・リーグのスターたちを抑えつけた。同一リーグ、宿敵ジャイアンツの本拠地だけに選手紹介時からブーイングも浴びたが、その大きさが斎藤の実力を示していた。
言いようのない緊張感が、わずかに指先の感覚を狂わせた。7回の先頭打者、ロバーツへの初球、2球目の直球が外へ、内へと外れた。夢舞台の真ん中に立った斎藤の口元は固く、真一文字に結ばれていた。
斎藤「いつも戦っているサンフランシスコだったのでリラックスできるかと思いましたが、2球ボールを続けてしまった。緊張していたかもしれません」。
5回終了の時点で登板機会を伝えられた。ブルペンでは1度ならず、2度も肩をつくった。平常心でいようにも、自然に気持ちが高ぶった。
斎藤「7回までとても長く感じた。普段なら自分がどこで投げるのか分かっているのですが」。
それでも、3球目の94マイル(151キロ)が外角に決まると、いつもの自分を思い起こせた。追い込んでからの勝負球も力のある直球を内角に制球。先頭を二ゴロに仕留めた。
続くポサダには内角スライダーで一塁ライナー、ハンターも得意のスライダーで左飛に打ち取った。狙っていた三振は奪えなかったが、直球の球威、変化球のキレは、米国で再び輝きを取り戻した斎藤らしさを表現する内容だった。
05年オフ、肩、ひじ、腰の痛みが癒えないまま、14年間着続けた横浜のユニホームを脱いだ。単身渡米でマイナーからはい上がった過程では、由希子夫人と2人の愛娘たちの理解なしには語れない。3人をサンフランシスコに招待したことも大きな力になった。
斎藤「この雰囲気、このスーパースターの中にパパもいるんだよ、というところを見せたかった」。
ド軍と宿敵関係にあるジャイアンツの本拠地だけに、試合前の選手紹介、登板時にも大ブーイングを浴びた。それも今の斎藤には心地よく聞こえる。
斎藤「家族が少しかわいそうでしたが、両軍の歴史がブーイングを送ったのでしょう。今日ここで投げたことで、また1つ大きくなれた。弾みがついた」。
前半戦23セーブ、防御率1・47。好調の守護神は後半戦への自信もつけた。インタビューが行われたベンチ裏の通路には、37歳の初々しい声がこだました。【山内崇章】
[2007年7月12日9時31分 紙面から]
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