メジャー投手の肘靱帯(じんたい)再建術施術第1号として知られその名前が手術名となったトミー・ジョン氏(71)が先日、ニューヨークのESPNラジオに出演し、ヤンキース田中将大投手について熱く語った。現在71歳の同氏はニューヨーク州在住で、そのため田中やヤンキースの情報にも精通し、話は実に興味深いものだった。

 ジョン氏が手術を受けたのは1974年、故フランク・ジョーブ医師によってだった。18カ月のリハビリ後に復帰し、その後33歳から46歳まで14年間故障知らずで「ローテを1度も外れなかった」というのが自慢。自身のそんな体験から、当然ながら「タナカはは早く手術した方が良い。早ければ早いほど、復帰も早い」という主張の持ち主だ。

 ジョン氏が手術を勧めるのは、肘故障の影響で投球モーションが変わってしまうと、かえって故障を再発させる可能性が高くなるためだともいう。「私は手術後、投球モーションを術前とまったく同じにしたいので、そこをしっかりチェックしてほしいと投手コーチにお願いしたくらいだ。だから術後、引退までローテを外れることがなかった」と話していた。田中が4月下旬に手首の炎症などで故障者リスト入りしたことについては「手首が肘の故障と関係があるのか分からないが、手首が使えないと球が思うように投げられない。私も手首が使えなかったときは、シンカーがまったく落ちなかった」と話し、田中を心配している様子だった。さらに「たぶんA・ロッドに本塁打記録ボーナスの支払をめぐる問題に決着がつき球団がいくらかお金を節約できたら、そのお金をタナカの手術費用に充てればいい」とジョークも飛ばしていたが、約13分間のラジオ出演で10分近くも田中について語っていたのは印象的だった。