マーリンズのイチロー外野手がメジャー通算3000安打の大記録に近づく中、チームが快進撃を続けている。前半戦終了時の成績は47勝41敗の勝率5割3分4厘で、これはマーリンズがワールドシリーズを初制覇した97年の5割8分1厘に次ぐ球団史上2番目に高い前半戦終了時の勝率。ナ・リーグ東地区では首位ナショナルズと6ゲーム差でメッツと同率の2位タイ、ワイルドカード争いではトップのドジャースと2・5ゲーム差の2位タイで折り返し、ワイルドカード争いには優位な状況にあるが、球団関係者は「目指すのはそこではない」と口をそろえて言う。

 ドン・マッティングリー監督は「我々は地区優勝を目指している。選手たちには、ワイルドカード争いで満足しないようにと話しているよ」と何度も口にしている。エースのホセ・フェルナンデス投手も「僕らには優勝のチャンスがある。それだけいいチームだと思っている」と話し、前半戦で長い不振に陥っていた主砲のジャンカルロ・スタントン外野手が復調してきたことから、期待はますます高まる。デービッド・サムソン球団社長も前半戦が終了したとき「我々は何としてもプレーオフに進出したい。イチローと契約したのも、3000安打のためではなく、勝つため。彼はプレーオフ進出のためチームの力になってくれる存在だ」と力説していた。マーリンズは93年に創設されてからこれまで2度、97年と03年プレーオフに進出しているが、そのいずれもワールドシリーズ制覇を果たしている。そのいずれもワイルドカードでの進出だったが、今のようにワイルドカード同士が1試合だけのプレーオフを行うという時代ではなかったため、今のワイルドカード不利のルールの下では、地区優勝を狙うことが重要になってくる。選手も首脳陣も、その思いが強いのだ。

 その目標に向かって一丸となっているチームのムードは、底抜けに明るい。試合に勝った後のクラブハウスはラップやアップテンポの曲が大音量で流されカラフルなライトが点滅し、スモークがたかれるなどど派手な演出が行われ、若いチームらしいにぎやかにあふれている。元気な若手たちの中で、黙々と自分のすべきことに取り組むベテラン・イチローのコンビネーションも絶妙。後半戦の戦いに注目だ。