「ダイジョウブ、モンダイナイ」。15年まで東京ヤクルトに所属していた、現レンジャーズのトニー・バーネット投手(34)が、笑顔で言った。

 1日(日本時間2日)、エンゼルス戦前のクラブハウスで、古巣ヤクルトの話題になった。その時点で最下位だったが、「プレーオフ圏内じゃないか。まだまだこれから。モンダイナイ」。3連勝中だったヤクルトはその後、連勝を7まで伸ばし、上昇気流に乗った。13日(同14日)、ドジャース戦前に再びあいさつに行くと「ほら、見たか」と満足そう。最終的にヤクルトは、交流戦の最高勝率球団となった。

 14年ぶりにリーグ優勝した15年、ヤクルトで守護神として貢献。その年のオフにメジャーへ復帰したが、「ツイッターで毎日、試合結果をチェックしてるよ」と、古巣への関心は今でも高い。「ゲンキ?」、「ハジメマシテ」、「ヒサシブリ」。片言だが日本語も5年間で自然と染みついた。

 親日のメジャーリーガーは、古巣だけでなく日本に関する話題にも熱くなった。右肘内側側副靱帯(じんたい)を損傷したエンゼルス大谷翔平投手(23)について、「残念。早く復帰して欲しいね」と思いやった。同リーグ同地区でライバル球団の選手にもかかわらずだ。ファンだけでなく、多くのメジャー選手が「大谷は見ていて楽しい」と言う。それはバーネットも同じ。「彼は野球界に必要なんだ」と力を込めた。

 二刀流で注目を集めていた大谷のケガは日米に衝撃を与えた。日本人メジャー選手、特に投手は故障しがちとの見方も少なからずある中、「それはおかしな話。日本人だろうが、アメリカ人だろうが、ブラジル人だろうが関係ない。みんな1人の野球選手」と熱く語った。メジャー関係者の間で、日本人が故障しがちという話題は「聞いたことない」と真っ向から否定した。

 西武菊池らを筆頭に、日本人投手のメジャー移籍は今後も続くだろう。獲得を狙う編成担当者に、日本人はケガのリスクが高いという先入観があれば、門戸が狭まる可能性もある。バーネットは「ダイジョウブ。心配ない。今回の大谷のケガは(日本人メジャー選手の挑戦に)全く影響しないと思う。これからもたくさん日本人来るでしょ」と、笑って締めた。メジャー選手との会話で5分話せれば長い方だと思っていたが、熱く話してくれたバーネットとの会話は、気付けば10分を過ぎていた。

ヤクルト時代のバーネット(2015年10月16日撮影)
ヤクルト時代のバーネット(2015年10月16日撮影)