「グローバル・ベースボール」の動きが、少しずつだが活発化している。17日(日本時間18日)、米ワシントンD・Cでメジャーのオールスターが開催された。取材メディアの大半は、米国、南米諸国、日本、韓国だったが、今回の球宴には中国メディアも1社のみ参戦。PCゲームや携帯アプリのサービスを行うインターネット関連会社「テンセント・ホールディングス」が、MLB球宴を初めてオンラインで生中継した。

 球宴の取材に訪れた中国人クルーは「中国ではバスケット、サッカーが人気があるけど、野球はまだまだ。でも、興味がある人も多い」と話した。中国で野球は十分に普及しているとは言えないが、取材姿勢は“超”積極的。今回の球宴で本塁打を放ったトラウトを囲むインタビューでは、3つの質問を浴びせた。米国人を含め、報道各社の中でも最多だった。「中国で初めてオンラインでMLB球宴が放送された。これが世界の野球普及へきっかけになるか」、「中国人のファンに何か言いたいことは」、「大谷がケガで出られなかったけど、彼はメジャーのオールスター出場に値するか」などと、立て続けに英語で質問した。

 トラウトは、「もちろん、アメリカ以外でも見てもらえることは良いこと。最高の選手が集まる試合を楽しんで欲しいね」と真摯(しんし)に受け答えした。唐突な質問だったかもしれない。中国人ファンへメッセージを求められた時には少しとまどいも見せたが、笑顔で言った。「僕のことも、野球も、ずっと見続けて欲しい。ありがとう」。中国での中継は平日の朝8時ごろ。それでも見てくれているファンに感謝した。

 来年3月20日、21日にはMLBの開幕戦、アスレチックス対マリナーズの試合が東京で行われ、6月には英ロンドンでヤンキース対レッドソックスの伝統の一戦が開催される。欧州では初めての試みだ。中国でも08年3月に2試合、オープン戦を行っている。テンセント社のクルーは「僕はMLBのマイナーリーグの試合も好きなんだ」。マイナーリーグに興味を示す中国人もいるほどで、人気が高まる根はある。中国での野球の市場拡大が「グローバル・ベースボール」の鍵になると、あらためて実感した。

オールスター戦の3回、ソロ本塁打を放つエンゼルスのトラウト(共同)
オールスター戦の3回、ソロ本塁打を放つエンゼルスのトラウト(共同)