エンゼルス大谷翔平投手(24)が19年は打者に専念する中、エ軍の若手に有望な「160キロ投手」がいる。7月31日にレッドソックスからトレードで加入した右腕タイ・バトリー投手(25)だ。移籍から約2週間後の8月16日、リリーフとしてメジャーデビューし、1回1安打無失点に抑えた。同31日のアストロズ戦では直球の球速99・9マイル(約160・8キロ)をマーク。「直球が僕の一番の武器」と、スピードと力強さを強烈に印象づけた。

内に秘める「自信」がバトリーの原動力。レッドソックスではメジャーのマウンドに上がれず、7年間マイナーで過ごした。日本のプロ野球なら1軍に一度も昇格する機会なく、2軍で調整し続けるという状況だろう。つらい日々だったことは想像に難くない。ただ、バトリーは「自分はやれる、打者を圧倒する投球が出来る、そういうものをとにかく見せたかった」と、自信をモチベーションに変えてチャンスを待ち続けた。

ようやく踏めたメジャーのマウンドで、躍動した。198センチ、体重104キロと大柄な体格。持ち球にチェンジアップもあり、当時のナギ投手コーチも「潜在能力としては守護神になれる」と評価した逸材は9月以降、9回のマウンドを任されることも多くなった。1点差の場面でも「緊張はしないね。むしろ、楽しいよ。大舞台で、レベルの高い戦いが出来る。気分は最高だ」と言い切る。25歳と若いが、自信に満ちた言葉に、将来の守護神候補として頼もしさを感じさせた。

直球に限れば大谷も同じタイプの速球派投手。バトリーは「彼(大谷)は僕よりもっともっとすごいよ。先発投手は、強いボールを投げ続けないといけないから。彼は本当に素晴らしい」と脱帽する。来季、大谷は右肘のリハビリのため登板できないが、20年シーズン以降は投手としても復帰する見込み。160キロ投手の大谷が先発で投げ、160キロ投手のバトリーがクローザーで締める。そんなシナリオも将来的には実現しそうだ。

【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)