エンゼルス戦でメジャー初勝利を挙げ、笑顔でウイニングボールを手にするマリナーズ菊池(2019年4月20日撮影=菅敏)
エンゼルス戦でメジャー初勝利を挙げ、笑顔でウイニングボールを手にするマリナーズ菊池(2019年4月20日撮影=菅敏)

人に喜んでもらうことが一番の幸せ-。マリナーズ菊池雄星投手(27)が20日(日本時間21日)、登板6試合目にしてメジャー初勝利を挙げた。試合直後、チームメートのゴードンは「ユーセイ! ユーセイ!」と声を上げ、はしゃいでいた。西武時代の同僚、故郷岩手の仲間からも祝福のメッセージをもらい、菊池は「周りの方々が喜んでくれることが、何よりうれしい」としみじみと振り返った。

菊池の勝利の5日前、同じような言葉を聞いた。カブスのダルビッシュ有投手(32)がマーリンズ戦で今季初勝利。昨年5月20日以来、330日ぶりの白星だった。試合後、ダルビッシュは言った。「勝つと、試合終わってみんな喜ぶじゃないですか。そういうのを見ると、勝ってよかったなと思います」。

菊池もダルビッシュも、登板内容としては納得のいくものではなかったかもしれない。菊池は5回10安打4失点と序盤から苦しんだ。ダルビッシュは6回途中2失点も、5四死球と制球がやや乱れていた。それぞれの状況や歩んできた道が違うだけに、ひとくくりに苦しんで得た勝利とは言えないが、勝って思うことはお互いに似ていた。

試合の流れを作る先発投手が勝敗を左右することは多い。だからこそ、菊池が「ほっとしている」と振り返ったように、勝った瞬間の喜びも大きい。ふと、7年前に楽天イーグルスの担当記者をしていた時、当時ストッパーだった青山浩二投手(35)の言葉を思い出した。「試合を締めると、みんなが集まってくる。その感じがいい」。マウンド上で仲間の笑顔を間近で見ることが、最高の瞬間だったという。

先発であろうが、リリーフであろうが、最後に喜びを分かちあうことが戦いのモチベーションになる。それが団体競技の醍醐味(だいごみ)の1つでもある。それぞれの言葉を通じて、改めて実感した。【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)

カブス・ダルビッシュ(2019年3月19日撮影=菅敏)
カブス・ダルビッシュ(2019年3月19日撮影=菅敏)