2015年のメジャー・リーグ公式戦も、残りわずかとなりました。地区優勝やプレーオフ進出を目指すチームにとっては、これからが本当の正念場ですが、その一方で、シーズン終了を前に来季への準備を進めている球団も少なくありません。

 特に、今シーズンは早い時期からゼネラルマネジャー(GM)の去就が目立つなど、各チームの再建策は水面下で着実に動き始めています。5月18日にGMから監督に就任したマーリンズのジェニングズ氏は、メジャーでも極めて稀なケースですが、その後も、以下のように続々とGMの退任、辞任、解任が続きました。


 エンゼルス ディポト氏

 タイガース ドンブロウスキー氏

 レッドソックス チェリントン氏

 マリナーズ ズレンシック氏

 フィリーズ アマロ氏


 自ら勇退したブルワーズのメルビン氏、特例のジェニングズ氏を含めると、全30球団の5分の1以上にあたる7球団のGMが、シーズン途中でその職場を離れたわけです。現時点で、成績不振に伴う監督交代が4球団(病気療養中のレッドソックス・ファレル監督を除く)であることからも、いかにメジャーのGMが安定した職業ではないかが、如実に顕れたことになります。

 もちろん、各球団によって内部事情は異なりますが、「編成のトップ」として位置づけられるGMとはいえ、基本的にオーナー陣から「雇用」され、チーム低迷の責任を問われる立場は、監督やコーチ陣とと変わりません。その役割の柱といえば、FAやトレードで戦力を補強し、ドラフトで有力選手を発掘し、一流選手になるまで育成することです。その一方で、近年はセイバーメトリクスなどのデータ収集、活用などへの考え方も、GMとしての評価につながっている部分も否定できません。実際、エンゼルスの場合、ソーシア監督とディポト氏の間でデータ運用について、見解の相違が生じ、退団につながったとも言われています。

 裏を返せば、現場と編成サイドの野球観や目指すスタイルが一致しない限り、激戦を勝ち抜くことは難しいということでしょう。ある意味で、監督選び以上に重要な側面を持つのが、GMの人選なのかもしれません。

 今年はどのチームが世界一にたどり着くかと分かりませんが、少なくとも現場とフロントに一体感のあることが重要な条件になるような気がします。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)