2016年のシーズン開幕を前に、今年も複数の選手が、米国から日本球界へ移籍します。球界内では、新外国人選手の「当たりか、ハズレか」を見分けることは競馬の予想よりも難しいと言われるほどで、公式戦での活躍はフタを開けて見るまで分からない、というのが現実です。

 メジャーでの実績からすると、通算162本塁打のジョニー・ゴームズ(楽天)、同122本塁打のギャレット・ジョーンズ(巨人)の2人はトップクラスでしょう。

 左腕キラーとして知られるゴームズは、レッドソックス、ロイヤルズでそれぞれ世界一を経験。ハッスルプレーが売り物の熱血漢で、チームのムードメーカー的な存在として、ファンからの人気も絶大でした。一方のジョーンズは、物静かな紳士タイプ。メジャーに定着したパイレーツ時代には主軸として活躍し、当時は「パ軍の顔」として期待されるほどの存在でした。もっとも、2人とも近年は控えに回ることが多かったこともあり、出場機会を求めて太平洋を渡る決意を固めたのでしょう。

 バリバリのメジャーリーガーが日本へ移籍する場合、その多くが全盛期を過ぎた感があることは否定できません。ただ、彼らに共通するのは、「毎日、グラウンドでプレーしたい」という野球への情熱ではないでしょうか。実績もプライドもありながら、異国の日本でプレーする覚悟は、経験の浅い若い選手とは少しばかり異なるはずです。本当に野球が好きでない限り、生まれ育った母国を離れる決断はできないでしょう。

 このほか、通算43勝のカイル・デービース(ヤクルト)、通算66本塁打のダヤン・ビシエド(中日)、時速100マイル(約161キロ)の快速球を持つエリック・コーディエ(オリックス)らのメジャー経験者も、日本行きを選択しました。

 彼らが年俸、実績に見合うだけの活躍ができる保証はありません。その一方で、日本球界を経験した外国人選手は、チャーリー・マニエル(元フィリーズ監督)をはじめ、ヘンスリー・ミューレン(ジャイアンツ打撃コーチ)、トーリ・ロブロ(レッドソックス・ベンチコーチ)らのように、優秀な指導者として「第2の人生」を歩むケースが増えています。

 グラウンド上で活躍することはもちろん重要ですが、彼らが日本の野球、文化を受け入れ、その経験を将来的に生かすことができれば、本当の意味での「国際交流」になるのではないでしょうか。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)