マーリンズのイチローが、3試合で10安打と大活躍し、日本だけでなく、米国でも話題を集めました。もっとも、42歳の年齢ばかりが強調される風潮もあり、5月23日(日本時間24日)の試合後、イチローは「42歳とか、もう、ほっとけや。やかましいわ」と、ジョーク交じりに笑い飛ばしたそうです。

 その一方で、イチローと同じように、常に年齢を話題にされているのが、球界最高齢のバートロ・コローン投手(メッツ)です。5月24日に43歳の誕生日を迎えたばかりですが、コローンの場合、まったく体形が変わらないイチローとは正反対で、年を重ねるにつれて体重が増加。身長180センチは変わらないまま、体重だけが130キロまで到達してしまいました。ところが、クマの着ぐるみのようなコロコロした風貌となってしまったことがプラスに働いたのか? ファンの間では、いつしか「ゆるキャラ」的な存在として人気が高まったのだから不思議なものです。

 ドミニカ共和国出身のコローンは1997年、インディアンスで鮮烈なメジャーデビューを飾りました。当時は、時速100マイル(約161キロ)の剛速球を武器に白星を重ね、アッという間に、ローテーションの中心として定着しました。エンゼルス時代の2005年(当時32歳)には、リーグ最多の21勝を挙げ、初のサイヤング賞を獲得。スペイン語しか話さず、メディアと一定の距離を保ったこともあり、当時はどちらかといえば「不思議キャラ」のイメージでした。

 もっとも、体形の変化と並行するかのように? 投球スタイルもガラリと変えました。06年以降は故障がちで、10年は右肩、右肘の手術で1年間休養。復帰後も禁止薬物使用で50試合の出場停止処分を受けるなど、選手生命の大ピンチを迎えた時期もありました。それでも、コローンは、かつての快速球を捨て、カットボールやシンカーを操る技巧派としてメジャーの舞台に戻ってきました。アスレチックスに所属した13年には、1試合平均0・7四球と抜群の制球力で、18勝をマーク。昨季まで4年連続で2ケタ勝利を挙げるなど、まさに熟練の投球を続けています。

 ちなみに、コローンにとって、過去19シーズンで最も対戦が多いのはイチローで、通算成績は114打数34安打、打率2割9分8厘。同じナ・リーグ東地区のライバル同士ですから、今季も球界最年長投手と最年長野手の対決は見られるはずです。

 ただ、コローン、イチローともパフォーマンスのレベルは依然としてメジャートップクラス。あまり年齢ばかりに注目しすぎると、2人に「やかましいわ」と言われてしまうかもしれません。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)