「去年よりスムーズな感じで終われたと思います。(練習の)流れもつかめてますし、チームメートともなじめているので…」。

 キャンプ初日の全体練習を終えたドジャース前田健太投手は、アリゾナの抜けるような青空の下、すがすがしい表情で振り返りました。居並ぶカメラの放列に一挙手一投足を追われつつ、やや緊張気味に周囲の動きを気にしていたメジャー1年目と違い、練習中には同僚とジョークを言い合い、快調なテンポでブルペン投球をこなす姿には、やはり2年目の余裕が感じられました。

 ちょうど1年前の春季キャンプ当時、前田は笑顔を浮かべながらもルーキー特有の緊張感をにじませていました。「いい環境」と言う一方で、「(スタッフや選手の)名前も覚えないといけないし、慣れていかないといけない」と、練習メニュー以上に環境への対応に心を砕いていました。しかも、ローテーションの一角として計算されていたとはいえ、メジャーでの実績は「ゼロ」。オープン戦の当初から結果を残し、アピールしなくてはいけない立場でした。

 その1年後、前田は当時の状況を、ある意味で客観的に思い起こしていました。オフ期間は、広島退団、メジャー球団との移籍交渉、引っ越し、テレビ出演…と、過去に経験のないほど多忙な毎日で、十分な練習時間を確保できる状況ではありませんでした。ドジャース移籍決定後も、慌ただしい毎日が続いた結果、アリゾナでキャンプイン。急仕上げでオープン戦に臨み、そのまま公式戦開幕を迎えました。

 結果的に、開幕戦初勝利をはじめ、シーズンではチームトップの16勝を挙げる活躍を見せましたが、反省点も残りました。「もっとゆっくりやれば良かったですね。ちょっと急作りで…。中盤から終盤にペースが落ちましたから」。特に、ポストシーズンでは納得のいく投球ができず、3試合に先発しながら未勝利。その悔しさは、今も消えていません。

 昨季は、シーズンを通して登板間隔に余裕を与えられたり、1試合の球数も極力軽減されていましたが、今季は主力としてフル稼働が期待されています。

 「自分のやりたいことを、やりたいリズムでできると思います。しっかり1年間ローテーションを守れることを証明したい。やることはいっぱいあると思います」。

 昨季の手応えと反省を冷静に分析したうえで、今後を見据える前田に、「2年目のジンクス」は無縁のようです。