ナ・リーグ西地区で着々と白星を重ねたダイヤモンドバックスが、ワイルドカード1位でポストシーズン(以下PS)進出を決めました。2011年以来となるPS進出を決めた24日(日本時間25日)のマーリンズ戦の試合後は、クラブハウス内のシャンパンファイトを終えると、選手達は右中間後方にある、本拠地チェースフィールド名物のプールに飛び込んで喜びを分かち合いました。

 01年、ランディ・ジョンソン、カート・シリングの2枚看板を要して初の世界一に駆け上がったダ軍も、近年は低迷続きでした。その間、地道に組織改編、世代交代を進めながらも、昨季は69勝93敗と大きく負け越しました。そこで、昨オフには、前レッドソックスGMのマイク・ヘイゼン氏を新GMに招請。かつてヤクルトでもプレー経験のあるトレイ・ロブロ氏を監督に迎え、チーム再建に着手しました。

 新生されたチーム力は、春先から結果として表れました。開幕3戦目から5連勝したのをはじめ、その後も健闘を続けました。宿敵ドジャースが快進撃を続け、首位を快走するのをよそに、7月末のトレード期限前には、右の大砲JDマルチネスをタイガースから補強。そのマルチネスが、移籍後わずか2カ月半の間で27本塁打(9月24日現在)を放つなど、課題でもあった攻撃力アップに成功しました。最終的には地区優勝をドジャースに譲りましたが、8月下旬から9月上旬にかけて、その宿敵ド軍を2カード連続で「3タテ」するなど破竹の11連勝を飾り、終盤へきて調子を上げてきました。

 マルチネスを獲得した最大の理由が、カーショー、ヒル、ウッドと並ぶド軍の左腕先発陣対策であることは言うまでもありません。現在、36本塁打、120打点を挙げててる主砲ゴールドシュミットとの長距離砲コンビが、ド軍にとっても脅威になることは間違いないでしょう。投手陣にしても、グリンキー(17勝)、コルビン(14勝)、レイ(14勝)と計算できる先発陣をそろえており、地区5連覇のド軍といえども、足をすくわれる可能性は捨てきれません。

 メジャーでは、「強いチームがペナントレースを制し、熱いチームがポストシーズンを制す」と言われます。開幕前の下馬評はいまひとつながら、終盤へ入って「熱く」なったダイヤモンドバックスは、今PSの「台風の目」になるような気がします。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)