ポスティング制度でメジャー移籍を目指す日本ハム大谷翔平投手の移籍交渉が、米ロサンゼルス近郊でいよいよ本格的にスタートしました。事前には全30球団が参戦するとも言われ、空前の争奪戦になると見られていました。ところが、代理人のネズ・バレロ氏が全球団に質問書を送付し、その回答書が書類による「1次審査」を兼ねたことで、思わぬ展開となりました。

 各球団への通達日となった3日(日本時間4日)の午後になると、ヤンキースの落選を皮切りに、続々と審査結果が明らかになりました。その後、レッドソックス、ツインズ、ブルージェイズ、ダイヤモンドバックスなど、早い時期から意欲を見せていた有力球団が、「2次審査」に進めないことが判明。一時は、メジャー球界関係者のツイッターが、それら「合否情報」で一色になるほどでした。

 なかでも、メジャー屈指の人気球団で、今回の争奪戦でも最有力候補として挙げられていたヤンキースの脱落は、大きな反響を呼びました。キャッシュマンGMは、地元メディアに対し、直接交渉に招待されなかった事実を認め、その理由として大谷側が「西海岸」「小規模市場」を希望したことを挙げました。その一方で、国際的なスーパースターの入団を待ち望んでいた地元ニューヨークのメディアの落胆ぶりは強烈で、一部紙は「なんというチキンだ」と、皮肉たっぷりの論調の記事を掲載するほどでした。

 もっとも、現段階で大谷自身の本音は見えていません。実際、地理的な条件や市場規模だけで判断したとは考えにくいですし、「日本人選手がいない球団」を希望していると分析する声も聞こえてきます。それ以上に、以前から「二刀流」としてプレーできるベストの環境を最重要視していることも知られており、ヤンキースがそれらの条件に適さないと考えたのかもしれません。

 いずれにしても、4日の時点では、7球団に絞られています。その中には、西海岸ではないカブスやレンジャーズも含まれていますし、ニューヨークに続く大規模市場のドジャース、エンゼルスも名前を連ねています。

 大谷がどの球団を選択するのか-。

 日米両国間の「大谷フィーバー」は、数日後にもピークを迎えることになりそうです。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)